東京オリンピック卓球は26日に、混合ダブルス決勝、許昕・劉詩雯組(中国)対水谷隼(木下グループ)・伊藤美誠(スターツ)組(日本)が行われ、水谷・伊藤組が4-3で勝利し、金メダルを獲得した。卓球の日本勢が金メダルを獲得するのは史上初のこと。これは日本卓球にとって3大会連続5個目のメダルとなった。

 

 第1ゲーム、水谷のサーブで試合が始まった。これに対し、許が回転の強いレシーブで応戦し、それを返せず、日本ペアは序盤から相手に主導権を渡してしまう。そのまま中国ペアに押し切られ、5-11で最初のゲームを取られてしまった。続く第2ゲーム、中国は序盤から強いボールで日本を攻め、それに伊藤が苦戦する。1-8と大きく離されたものの、日本ペアもサーブからゲームをつくり、3球目攻撃で反撃する。追い上げたものの、タイムアウトをとられ、そこで流れを戻され、7-11で中国が連続してゲームを取った。

 

 悲願の金メダルに向け負けられない日本ペアは、第3ゲームで巻き返す。序盤から中盤にかけラリーを我慢強く制した日本ペアが7-7のタイから勢いを見せ、中国ペアを徐々に圧倒。このゲームは11-8と日本が取り返した。さらに第4ゲームでも日本ペアの勢いは衰えず、11-9でこのゲームを勝ち、ゲームカウントを2-2のタイに戻した。

 

 迎えた第5ゲーム、日本ペアは序盤から攻め、特に水谷はフォアハンドで強気に攻める。中国ペアも1ポイント差まで詰め寄るが、日本ペアはここで冷静にタイムアウトをとって、クールダウン。そのまま11-9で逃げ切り、金メダルにあと1ゲームとなった。

 

 だが、第6ゲームは中国ペアが11-6と取って、再び3-3のタイに。金メダルの行方は最終の第7ゲームに持ち込まれた。

 

 第7ゲームでは開始から6連続ポイントを獲得した日本ペア、7点目は予想外の伊藤のストレートで得点。7-0とリードを奪った。8-0から伊藤のサーブとなり、ここは中国に連続して2ポイント連続して奪われたものの、9点目は中国ペアのレシーブがオーバーし、9-2。さらに1ポイントを返されて9-3で日本のサーブ。伊藤のレシーブがネットにかかり9-4。続いてポイントを奪われ9-5と4点差に迫られた。

 

 だが、中国ペアのレシーブがネットに当たり10点目、日本はマッチポイントを迎えた。

 

 最後は準々決勝のドイツ戦で見せたのと同じ伊藤のサーブが炸裂、なんとか返した中国ペアのレシーブはネットとなり、日本の金メダルが確定した。

 

 日本卓球史上初の金メダルを獲得した水谷は、「中国という国にはこれまで五輪や世界大会で負け続けてきて、そのリベンジがここで果たせました。勝負の分岐点は3ゲーム目。0-4とリードされ流れが悪かったけど、そこから逆転できてこっちに流れを持ってこれました」と語った。

 

 会見場まで小さくジャンプしながら喜びを表した伊藤は「すんごく、うれしいです! 代表選手の応援とかも大きく、それに応えられて、諦めずに戦い、最後まで楽しかった。初めてのミックスタブルスを楽しめたので、次は明日からのシングルスに向けて切り替えたい」と金メダルの喜びと同時に、個人戦へ決意を新たにしていた。

 

(文/SC編集部・西崎)

 

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