東京五輪柔道女子70キロ級の試合が28日、日本武道館で行われた。日本代表の新井千鶴は決勝戦でミヒャエル・ポレレス(オーストリア)に勝利し、金メダルを獲得した。

 

 新井は2回戦から出場した。マリア・ペレス(プエルトリコ)と対戦し、ゴールデンスコア(延長戦)の1分30秒に大外刈りで一本勝ちを収めた。

 

 準々決勝ではジョバンナ・スコッチマロ(ドイツ)と当たった。新井は3分過ぎ、内股からの体落としで技ありを奪い、そのまま横四方固めで合わせ技一本。準決勝にコマを進めた。

 

 準決勝、対戦相手はマディナ・タイマゾワ(ROC/ロシアオリンピック委員会)。体の柔らかいタイマゾワに苦戦をした。ケンカ四つの組みで相手の仕掛けに、新井は寝技に活路を見出そうと試みる。しかし、最後の最後でタイマゾワは抜け出す。試合はゴールデンスコアに突入。腕がらみも一本を奪えない。それでも新井は仕掛けに見事に返し、送り襟絞めでタイマゾワを失神させ、一本。本戦含め16分を超える“激戦”を制し、決勝進出を果たした。

 

 決勝ではオーストリアのミヒャエル・ポレレスと対戦。50秒過ぎ、新井は小外掛けで技ありを奪う。このまま危なげなく試合を進め、ポレレスとの戦いを制し、新井は五輪初出場で見事、金メダルを獲得した。

 

 新井は金メダルの喜びを語った。

「嬉しいです。その一言です。一本を取りに行こう、悔いの残らないように攻め切ろうと思いました」

 

 準決勝の“死闘”については「この舞台(五輪決勝戦)に立つために1年1年、自分が一番になるんだという思いで1年を積み上げてきた。最後は気持ちで攻めました。何ども挫けそうになったが、自分の信念を貫いて結果がついてきて良かった」

 

(文/大木雄貴)