1日、東京オリンピック体操競技種目別決勝初日が東京・有明体操競技場で行われた。あん馬には日本勢2人が出場。萱和磨(セントラルスポーツ)が14.900点で3位に入り、銅メダルを獲得した。日本勢同種目のメダル獲得は2004年アテネオリンピックの鹿島丈博以来、4大会ぶりとなった。亀山耕平(徳洲会)は14.600点で5位入賞。金メダルは15.583点でマックス・ウィットロック(イギリス)、銀メダルは15.400点でリー・チーカイ(チャイニーズタイペイ)が獲得した。ウィットロックは16年リオデジャネイロオリンピックに続き同種目連覇を達成した。

 

 スペシャリストが集う種目別決勝。この日は男子床運動(ゆか)、あん馬、女子跳馬、段違い平行棒の4種目が行われた。日本勢は、あん馬に萱と亀山が挑むこととなった。決勝に残った8人のうちウィットロックは12年ロンドン銀、16年リオ金を獲得しているスペシャリスト中のスペシャリストだ。19年の世界選手権も制している。予選1位のリーは18年、19年と世界選手権2大会連続銅メダリスト。19年世界選手権の銀メダリストのリース・マクレナガン(アイルランド)など実力者が揃った。

 

 演技順はウィットロックがトップバッター。リーは5番目、その後に萱、マクレナガン、亀山と続く。まずはウィットロックのDスコア(難度点)7.000点の演技構成ながらミスなく美しい旋回を披露した。さすが現世界チャンピオンというパフォーマンスで、10点満点のEスコア(出来栄え点)を8.583点でまとめた。15.583点という高得点をマーク。これが、各選手への基準となる点数となった。後続はこの得点を超えられず、リーも15.400点で2位につけた。

 

 6番目に登場したのは萱だ。近年はオールラウンドの実力を付けているものの、元々、あん馬を得意とし、15年世界選手権では銅メダルに輝いている。「今まで出た大会で一番レベル高い大会。でも相手のことは関係ない。自分のことに集中した」と萱。予選よりDスコアを上げた構成で、F難度のブスナリにも挑んだ。大きなミスなく安定感のある演技を披露した。会心の出来に萱も演技後ガッツポーズ。ウィットロックとリーには届かなかったが、14.900点で暫定3位につけた。

 

 マクレナガンは演技中に落下し、ウィットロックとリーのメダルが確定した。最終演技者は亀山。13年に世界選手権を制したが、オリンピックは初出場だ。予選2位タイで通過した際の得点は15.266点。表彰台は十分に狙える。亀山も萱同様に序盤にブスナリを入れる構成。綺麗な旋回を見せたが、終盤は演技に少し硬さが見られた。演技を終えた後の何とも言えない表情がすべてを物語っていた。得点は14.600点で表彰台には届かず。亀山も「出たのが実力。もっといい演技をしたかった」と振り返った。

 

 これでウィットロックの連覇、リーの銀メダル、萱の銅メダルも決まった。萱はアテネオリンピック以来、17年ぶりにあん馬で日本にメダルをもたらした。本人は「今日は自分を褒めたい」としながらも、「今日の銅メダルはパリに向けてのスタートだと思っているので、満足したくない。3年後のパリに向け、今すぐにでも練習したい」と既に次を見据えていた。

 

(文/杉浦泰介)