成果主義という観点で考えれば、ほぼ満点に近い。一軍投手コーチ就任1年目(2006年)のチーム防御率が3.05(リーグ1位)。2年目の今季が3.22(リーグ2位)。しかもチームは2年連続リーグ優勝。投手コーチとしては、およそ考えられる最高の結果を残したと言えるだろう。

 しかし、日本シリーズ後に待っていたのは契約の打ち切り。事実上の「解任」通告である。
 普段は温厚な北海道日本ハムの佐藤義則一軍投手コーチが珍しく、語気を荒げた。
「いまさら(クビと)言われても。(ヒルマン前監督)本人だけ喜んでそれでいいのか。球団は謝っていたけど。1年契約だからずっと(やれる)とは考えていないけど、(通告の)時期が悪い。就職活動ができないよ。誠意がないよな。前もって決まっていたなら言って欲しかった」

 日本ハムのエースといえば、いまや日本のエースでもあるダルビッシュ有。信頼する投手コーチを「解任」した球団フロントに対し、こう不満を口にした。
「(佐藤コーチが)いるといないとでは違う。若手も頼りにしていた。残念です。チームの目指している方向性が分からない。球団はどういうチームを目指しているのか。勝つことを一番に(重要視)していないような気がする。何がしたいのか。(解任されたコーチらに対する)侮辱ですよ」(日刊スポーツ11月6日付)

 いくら契約期間が終了したからとはいえ、あるいは監督が交代したからとはいえ、結果を残し、選手たちからも信頼されているコーチのクビを簡単にハネてしまっていいものか。チームにしこりは残らないのか。選手たちは動揺しないのか。3連覇に暗雲がかからないか心配である。

 同時に、コーチに対しては契約更新に際しての基準をある程度設けておいたほうがいいかもしれない。コーチの力量を測定する客観的な指標も必要である。

<この原稿は07年11月24日号『週刊ダイヤモンド』に掲載されたものです>

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