3日、東京オリンピック体操競技種目別決勝最終日が東京・有明体操競技場で行われた。男子鉄棒は、橋本大輝(順天堂大)が15.066点で金メダルを獲得。個人総合に続く今大会2冠を達成した。銀メダルは14.900点でティン・スルビッチ(クロアチア)、銅メダルは14.533点でニキータ・ナゴルニー(ROC=ロシアオリンピック委員会)が手にした。北園丈琉(徳州会)が12.333点で6位入賞。女子平均台はグァン・チェンチェンとタン・シーリンの中国勢がワンツーフィニッシュ。銅メダルにはシモーネ・バイルズ(アメリカ)が輝いた。日本の芦川うらら(静岡新聞SBS)は6位入賞を果たした。

 

 体操競技のフィナーレは種目別鉄棒の決勝だ。独特の緊張感漂わせながら、8人の選手たちが覇を競った。この中に前回リオジャネイロオリンピックのファイナリストは1人もいない。誰が勝ってもオリンピック鉄棒で初の金メダリストとなる。

 

 落下する者も表れる中、17年世界選手権の鉄棒金メダリスト・スルビッチ、今大会団体総合金のナゴルニーといった実力者は着実に技を決めた。スルビッチが14.900点、ナゴルニーが14.533点で暫定1位、2位につけた。

 

 7番目に登場したのが橋本だ。予選で唯一の15点台をマークしており、団体決勝の鉄棒では15.100点を叩き出した。個人総合決勝の鉄棒でも14.933点。3本の平均点は15.022点である。彼の“いつも通り”が見せられれば、表彰台の真ん中に立つことができる。とはいえ、その“いつも通り”が難しい。

 

 今大会は終始落ち着いた表情で演技をしている橋本は、この場面でも慌てず。冒頭にG難度のカッシーナ、E難度のコールマンという離れ技を決めていく。連続の離れ技も成功し、フィニッシュへ。伸身新月面宙返り下りの着地を完璧に決めた。

「最後は着地勝負になってくる。止めにいって止まって良かった」

 

 15.066――。橋本がトップに立ち、この時点で銀メダル以上が確定した。最終演技者も橋本の得点を超えられず、橋本の金メダルが決まった。今大会3個目のメダル、個人総合との2冠を達成した。本人は「いつも通りを出すために準備してきた」と言うが、それをこの舞台で発揮できる強さは王者の風格を漂わせる。

 

 19歳の若き新王者は語った。

「追われる立場にはなると思いますが、世界チャンピオンとして譲らず。気持ちもおごらず。しっかり自分の理想の演技を突き詰めて、世界一を取り続けていきたい」

 最高の締めくくりで日本のエースは有明体操競技場を後にした。

 

(文/杉浦泰介)