25日、東京パラリンピックの車いすラグビー競技が東京・国立代々木競技場第一体育館で開幕した。1次リーグプールAの日本代表(世界ランキング3位)はフランス代表(同6位)と対戦。先制を許した日本は追いかける時間が長く続いたものの、第4ピリオドに逆転すると、53-51で競り勝った。

 

 2016年リオデジャネイロパラリンピック銅メダル、18年世界選手権王者の日本は、自国開催の東京大会でパラリンピック初の金メダルを狙う。大事な初戦を勝ち切った。

 

 ガン! ガシャン!

 コートに響き渡る金属音。車いすでのタックルが認められているため、激しい肉弾戦が展開される車いすラグビー。選手が転倒する場面も珍しくない。40秒以内に攻撃を進めなくてはいけないため、スピーディーに試合は進み、点の取り合いとなる。

 

 日本はキャプテンの池透暢(日興アセットマネジメント)をはじめ、乗松聖矢(SMBC日興証券)、若山英史(静岡銀行)、島川慎一(バークレイズ証券)の4人がスタメン。池と乗松は2大会、若山は3大会、島川は4大会連続のパラリンピック。ケビン・オアーHCは経験豊富なメンバーで固めた。

 

 第1ピリオドはフランスに先制を許し、追いかける展開が続いた。キャプテンでフランスのハイポインター(障がいが軽く持ち点が高い選手)であるジョナタン・イベルナにトライを量産される。8分間で9トライ。日本は池と池崎大輔(三菱商事)を中心に得点を返し、一時は同点に追いついたが、13-15と2点ビハインドで終えた。

 

 第2ピリオドは選手を交代させながらも反撃を試みるが、イベルナのトライラッシュは止まらない。このピリオドだけで10トライを奪われた。2点差のままハーフタイムを迎えると、第3ピリオドで追いついた。1点差に迫り、このピリオド3分が過ぎたところで、フランスがパスミス。このチャンスを生かし、日本がスコアをタイに戻した。

 

 41-41で迎えた第4ピリオド。ラスト8分で勝敗が決まる。フランスはイベルナを中心にハイポインターが得点源。日本は池、池崎、島川のハイポインター勢が得点を稼ぎつつ、要所要所でローポインターの得点も見られた。迫りくる日本の圧力に屈したのかフランスが再びミスでボールを失う。

 

 残り3分半を切ったところで、日本が48-47で逆転に成功した。基本的には点の取り合いが続く車いすラグビー。リードしている日本は時計を見ながら、優位に試合を進めたい。残り2分を切ったところで、池を中心に相手の攻撃を凌いだ。自分たちの攻撃機は着実にスコアし、2点差をつけた。その後は自陣で守りを固めるなど時間をうまく使い、2点差のまま逃げ切った。

 

 同組でパラリンピック連覇中のオーストラリアはデンマークに敗れた。それだけに日本が難しい初戦を取ったことは大きい。「初戦は一番大事な試合だった」と池は語った。悲願のパラリンピック金メダルへ。表彰台の頂点に到達するため、好スタートを切ったと言っていいだろう。

 

(文/杉浦泰介)