第259回 9・19『RIZIN.30』朝倉海と井上直樹は、大晦日を見据えていかに闘うのか?
9月半ば過ぎから10月初旬にかけて格闘技の好イベントが続く。
9月19日(日)『RIZIN.30』(さいたまスーパーアリーナ)
9月20日(祝)『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN』(横浜アリーナ)
9月22日(水)WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ/寺地拳四朗vs.矢吹正道(京都市体育館)
9月23日(祝)『RISE WORLD SERIES 2021』(神奈川・ぴあアリーナMM)
9月25日(土)『KNOCK OUT 2021 vol.4』(東京・後楽園ホール)
10月2日(土)『RIZIN LANDMARK vol.1』(東京都内)
ほかにも数多くの格闘技イベントが開かれるが、ここでは間近に迫った『RIZIN.30』に触れてみたい。全対戦カードは次の通りだ。
注目が集まるのは、やはりメインイベントとセミファイナル。「RIZINバンタム級トーナメント」準々決勝、V候補本命の朝倉海と対抗・井上直樹が登場する。
メインでは朝倉が、勢いに乗るボンサイ柔術のアラン・ヒロ・ヤマニハと対峙。両雄は対戦が決まった直後から舌戦を繰り広げている。
「海はビッグネームだけど、それほど強くない。弱い。私が(関節技か絞め技で)決めて勝ちます」(ヤマニハ)
「いまのボンサイには勢いがあります。でも一番弱いボンサイの選手が勘違いしているみたいなので分からせてやります。ボコボコにしますので楽しみにしていて下さい」(朝倉)
6月13日・東京ドーム『RIZIN.28』で朝倉未来がクレベル・コイケに絞め落とされて敗れた。そんな経緯もあり「朝倉兄弟vs.ボンサイ柔術」として注視される一戦だが、過去の試合を観る限り両者の間には実力の開きがあるように感じる。
スピード、パワー、キャリア、展開の読み、いずれにおいても上回る朝倉が「9-1」で優位と見る。
KO狙い! 激闘は必至
セミファイナルで金太郎と闘う井上は、9月9日に練習を公開。その後、メディアとの質疑応答の中で、こう話した。
「コンディションは、すでにバッチリ。すぐにでも試合をしたい。(自分が)勝って当たり前みたいな雰囲気になっているので勝ち方にもこだわりたい。判定じゃなくてKOか一本で勝ちます。
(金太郎はカラダに)入れ墨とか入っていて見た目には怖そうだけど、試合になったら関係ない。恐怖心は、まったくないです。その先(大晦日の準決勝、決勝)もあるので、怪我なく圧倒的な差を見せつける試合がしたい」
言葉からは余裕が感じられた。
金太郎の強打は魅力だが、トータルの実力で井上が上回る。「8-2」で井上優位か。
2強と目される朝倉海と井上直樹は順当に勝ち進むだろう。
ただ、求められるのは勝ち方だ。
もし、「朝倉が判定でのきわどい勝利」「井上はKO圧勝」となれば、本命と対抗の立場が入れ替わることもあり得る。逆に、「朝倉KO完勝」「井上、判定での辛勝」なら、“やはり本命・朝倉強し!”のムードが色濃くなる。
朝倉、井上はともに大晦日を見据えており、KO(一本)を狙うはずで激闘は必至。
長月のさいたまの夜は、熱くなりそうだ。
この大会の模様は、スカパー!のPPV(ペイ・パー・ビュー)で生中継、「Exciting RIZIN」「RIZIN LIVE」で生配信されるほか、9月24日深夜(24時55分~)にはフジテレビ(関東ローカル)で録画放送される。
近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
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