(写真:男子のHCに就任したホーバス氏 ©JBA)

 日本バスケットボール協会は21日、男子日本代表の新HCに女子日本代表前HCトム・ホーバス氏が就いたことを発表した。女子HCは東京オリンピックでACを務めた恩塚亨氏が昇格。両者は翌日にオンライン会見に出席し、就任の意気込みを語った。

 

 パリオリンピックに向けた男女の体制が決まった。男子の指揮を執るホーバス新HCは、日本でのプレー経験(トヨタ自動車、東芝)はあるが、コーチングは女子のみ(代表、WNBA、ENEOSサンフラワーズ)だ。だからこそ日本協会からのオファーが「チャレンジが好き」という指揮官にとっては魅力的に映ったのかもしれない。

 

「日本のことを知り、世界に勝つための目標設定とそれを戦略として落とし込むことができる。私はストラテジーの天才だと思っている。ホーバスコーチだからこそできることがある」

 そう東野智弥技術委員長は招聘理由を語る。「選手とのダイレクトのコミュニケーションに期待したい」。日本でのプレー、指導経験が長く、言葉の壁が少ないこともホーバスHC就任のメリットだという。

 

 女子のHC就任会見の際には「金メダル獲得」を目標に掲げた。一方で今回は「簡単に目標は言わない」と語った。男子代表は2019年W杯、今年の東京オリンピックは出場こそできたものの、いずれも全敗に終わった。世界トップとの差は、女子以上に開いている。その差を埋めるのは容易でないはずだ。

 

 それでも「面白いバスケットができる。これからが楽しみ」と口にする。「日本らしいバスケで勝つ。日本らしさとはホーバスHCが女子でやってくれたこと」と東野技術委員長。ホーバスHCは「コーチングスタイルは変わらない」という。選手たちに厳しく要求する熱血漢が男子代表をどう変えるかに注目だ。

 

 女子はホーバスHCをACとして支えた恩塚氏が昇格する。「重圧は大きいが、やることは変わらない。選手の心のエネルギーをどういっぱいにするか」。リオはアナリスト、東京ではACとして日本代表を支えてきた。HCとしても東京医療保健大学をインカレ4連覇に導いた実績を持つ。「選手、チームの命を輝かせる」と意気込んだ。

 

(文/杉浦泰介)