社会人野球最大の大会である都市対抗野球に向け、セガサミー野球部は現在、東京都二次予選の真っ最中です。目下、2勝2敗で次戦は11日の第3代表決定戦。まずは予選初戦からを振り返りましょう。

 

 初戦の難しさ…

 9月22日、初戦の相手は明治安田生命でした。春の社会人日本選手権出場をかけて戦った相手でもあり、お互いに手の内は知り尽くしています。先発は草海光貴。初戦の入りは難しく、立ち上がりには注意する、というのは勝負の定石です。いつも選手には言っていることであり、わかっているんでしょうが、それでも予期せぬことが起こります。

 

 この試合も、初回、先頭打者にいきなりツーベースを打たれました。良いチェンジアップだったんですが、それをうまく打たれた格好で、ピッチャーとしては「あっ…」となるところです。そこで切り替えられれば良かったんですが、四球もあって3失点。その後は立ち直り、その間に打線が奮起し、4回を終わって3対3。まだまだ勝負はこれから、同点にした勢いのまま、流れをこっちに持っていきたいところです。

 

 だが、5回からマウンドに送った横山楓が5失点。この試合は、これがすべてでしたね。満塁になったところでどうにか流れを変えようと陶久亮太をマウンドに送ったものの、彼も打たれてしまった。まあ四球もあって、ランナーをためられ、そして不運な当たりもありました。逆にこっちはいい当たりが正面をつくなど運も向いていなかった。

 

 結果的には10対3の完敗でした。こうしたゲームでも何か収穫を得なければということで、点差も開いたのでルーキーの舘和弥に投げさせました。彼にとってはチャンスだったんですが、四球を出すなどピリッとせず。こういうところでビシッと投げてアピールをしてほしかったんですが、ちょっと全体的に流れが悪かったですね。投手陣では最後に投げた氏家優悟が完全復活を印象づけてくれたのが収穫でした。

 

 さて、この敗戦で第2代表トーナメントに回り、24日にエスプライドと対戦しました。クラブチーム相手なので「勝って当然」というプレッシャーがあり、相手投手のデータもなく、しかもドロンとした変化球を低めに投げてくるなかなかイヤなタイプ。攻撃陣は低めに飛びついて打ったりと、必死の攻撃を見せ2対0で勝利しました。どのバッターも力みがあったのか、得点圏にランナーが進んでもあと1本が出なかった。取れるときにはちゃんと取る、ということの難しさを実感したことでしょう。

 

 中でも打線のキーマンであり、ドラフト注目株でもある北川智也、中川智裕のふたりにヒットが出ず、力みが感じられました。まあどんな大会でも、最初の1本が出るまでは苦しいものです。日本シリーズと一緒ですよ。プロで長年やっている巧打者も「1本」が出るまでは苦労します。しかも彼らはドラフト候補ということで、スカウトの前ですから緊張もするでしょう。でも、そうした重圧の中で自分らしさを見せないといけない。

 

 4打席あるわけですから、長打力が持ち味なら一発を打つなどアピールする必要がある。まあヒットは出ませんでしたが、北川も中川も守備では良いところを見せていましたね。

 

 そして、次の対戦は28日に鷺宮製作所とでした。これは重要な一戦でした。というのもこの試合に勝てば第3代表、第4代表決定トーナメントの出場権は確定するわけで、"ひとつ負けても"という余裕が持てる。その大事な一戦は先発の草海が好投し、打線も先制点、中押し、そして9回には相手のミスもあってダメ押し、と理想的な試合運びで5対1と勝利しました。

 

 そして第2代表トーナメントの準決勝にあたる試合は、29日、JR東日本と対戦しました。第2代表を狙いつつも、先に述べた"余裕"があります。なのでこうした公式戦ではなかなか登板機会のなかった飯田大翔を先発させました。彼は海星高(長崎)出身の22歳。森井絃斗と同世代で、素材としては良いものを持っています。

 

 JABA大会で投げたことはありますが、やはり都市対抗の予選ということで緊張もあったのでしょう。初回に3点を失い、結局、3回途中まで。6つの四死球と自ら苦しい場面をつくってしまった感じですが、良い勉強になったことでしょう。課題はいろいろとありましたが、でもこの経験を収穫として、大きく成長してほしいですね。

 

 試合は1対4で敗れましたが、選手としては、「あとは勝って決めるだけ」と、目標にフォーカスしやすくなった部分もあるでしょう。次の第3代表決定戦は10月11日です。それまでの約10日間、みっちりと調整し、そして都市対抗の切符を勝ち取ります。

 

 こうしたトーナメント中の練習はシートバッティングで生きた投手の球を打ち、そしてランナー一塁などのケースバッティングを行います。まあ、普段どおりですよ。セガサミーの選手は個人練習はものすごくしているので、個人の技量は何も心配していません。あとは勝負の場で、本来の自分を取り戻せるかどうかが大切です。自分のバッティング、自分のピッチングをすれば、おのずと結果はついてきます。

 

 今回の予選では四死球が多いので、最後は基本に立ち返って、ミスをせず、しっかりとした野球をやることです。一発勝負はミスをした方が負ける……まあ、これは選手が一番わかっているでしょう。予選には里見治会長も姿を見せられたように、会社全体で野球部を応援してくれています。それに応えるためにも負けられませんね。第3代表決定戦はドラフト会議と同日です。ドラフトも都市対抗予選も良いニュースが伝えられればと思っています。皆さん、応援のほどよろしくお願いいたします!

 

 

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