皆さん既にご存知のとおりセガサミー野球部は2年連続12回目の都市対抗出場を決めました。応援ありがとうございます! なにはともあれ、10月11日に行われた東京都第三代表決定戦、JR東日本との試合について述べていきましょう。

 

 他チームの思いも背負って

 第三代表決定戦ということで負ければあとは最後の第四代表にかけるしかない、なかなかの崖っぷちな状況で迎えたこの試合。そのプレッシャーからかベンチは重苦しい雰囲気がありました。それを吹き飛ばしたのが初回に飛び出した北川智也の2ランでした。

 

 この一発で固さはとれましたが、でもその後は要所でバントを失敗したりとミスが目立ちました。こちらが追加点をとりあぐねてる間、中盤に逆転され、だが、7回に砂川哲平のスリーベースで同点に追いつくというシーソーゲームになりました。

 

 先発の草海光貴は7回途中までで3失点。そしてその後を受けた氏家優悟、陶久亮太が抑え、ゲームは延長戦に入りました。

 

 この代表決定戦は他の大会とは異なり、延長タイブレークはありません。長丁場になった場合を想定してピッチャーを使わなければならないので、そのあたりが難しかったですね。延長13回からは横田哲を起用し、それ以外にも当日、ドラフト会議でオリックスから指名された横山楓もブルペンで準備させていました。とにかく投手がよく踏ん張ってくれたゲームでしたよ。

 

 延長に入ってから再三、サヨナラのピンチを招きましたが、相手の走塁ミスや、そしてこちらの好守備もあって凌ぎきりました。JR東日本は巨人からドラフト指名された山田龍聖投手を9回からマウンドにあげ、こちらは彼の前に延長でもゼロ行進。いやな展開で再試合も覚悟していましたが、23時を過ぎて新しいイニングには入らないとなった最後の最後、延長18回。1番・植田匡哉がレフトにホームランを放ちました。植田はオープン戦などで予期せぬ場面で大きいのを打つことがありましたが、今回もまさかの一発。「打ってくれたらいいな」とは思ってましたが、本当に出るとは……。でも、よく打ってくれましたよ。

 

 そして、その裏を石垣永悟が抑え、ゲームセット。5時間超の熱戦を勝ちきり、本大会への切符を手にしました。再試合になっていたら結果はどうなっていたか。JR東日本に限らず、東京都はどのチームも実力伯仲で、まさに勝った負けたは紙一重です。出られなかったチームの思いも背負い、東京ドームでは良い試合をしたいと思います。

 

 試合前にはセガサミー里見治会長が激励に来られ、「野球部が会社を元気にしてもらいたい」と檄をいただきました。会長も15回までは現地で見ていて、その後、スマホで結果を知って、とても喜ばれていたと聞きました。会長をはじめ、会社の皆さんのためにも2年連続で都市対抗に進めて、本当に良かったです。ホッとしています。

 

 組み合わせ抽選の結果、セガサミーは初戦で北海道ガスと11月29日に対戦することになりました。北ガスの監督は早大出身の清水隆一さん。私の1つ年上で、学生時代は六大学で戦ったライバルです。抽選前には「当たったら面白いですね」なんて冗談で言っていたんですが、それが本当になりました。神宮で戦っていた大学生が、60歳を過ぎてこうして再会し、そしてドームで戦う。これも何か縁を感じますね。

 

 北ガスは初出場チームですから、これからデータを調べ、戦い方を練っていきます。まあ、選手たちはいつもとやることは一緒です。しっかりと準備をして、やることをしっかりやればいい。経験も積んでいるから、選手個々については心配していません。補強選手も決まったので、彼らにも早くチームに溶け込んでもらい一体感を持って本戦に臨みたいですね。

 

 予選もそうですし、本戦も僅差の勝負になるでしょう。その中でセガサミーらしい思い切りの良いバッティングと、ときにはきっちりとバントを決めるメリハリある攻撃で東京ドームを沸かせたいと思っています。

 

 気をつけるのは、いつも言っていますが、初戦の入りですね。硬くなったり、意識し過ぎることでいつものプレーができなくなることが多々あります。そこだけ気をつけて、あとは「一戦必勝」の積み重ねです。

 

 セガサミー野球部の今年のスローガンは「頂戦」ですから、もちろん優勝を目指していますが、でもそれも1勝の積み重ね。まずは初戦突破、そしてそれからその先へ。社会人にとって最大の大会である都市対抗に、万全の準備をして臨みたいと思っています。

 

 さて、話題は変わってプロ野球のことを。中日の監督にPL学園(大阪)出身のタツこと立浪和義が就任することになりました。タツはずっと監督候補と言われながら、ようやく古巣のユニホームを着ることになりました。今は希望に満ちた時期でしょう。

 

 で、タツに期待されているのは強いドラゴンズの復活と、そして集客です。私は独立リーグの監督も経験していますので、やはりプロというのはお客さんを呼んで、球団が潤ってこそです。そのためにはキャンプ、オープン戦、そして開幕直後の戦い方が大事ですね。ここで良いゲームを見せ、ファンを引きつけることがタツのミッションです。

 

 新監督というのは選手からも見られていますよ。「今度の監督はどんな野球をするのか」と思っていて、そのためにもキャンプなどで「立浪野球」をどうやって示すのかが大事になります。早く自分のカラーを打ち出し、それを選手に浸透させて、そして勝つ。理想論ではありますがタツも育成しながら勝っていかないと。勝てば絶賛されるし、負ければ厳しい評価が下されます。中日なら地元メディアも勝てば喝采、負ければボロクソでしょう(笑)。でもそれはプロだから仕方がない。タツがどういう野球を見せてくれるのか、私も楽しみにしています。そして本拠地のバンテリンドームがたくさんのファンで埋まることを祈っています。

 

 そういえば今年の都市対抗は応援団が解禁になります。応援合戦も都市対抗の花です。去年はコロナの影響でそれが見られず、初体験となる私は大いに楽しみにしています。都市対抗で頂点を目指して戦うセガサミー野球部へ、大きな声援をよろしくお願いします!

 

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