（写真：メインの原口vs.ペットパノムルンのほか、梅野源治vs.大雅戦などが組まれている ⓒRISE）
浪速のビッグイベントが目前に迫っている。
11月14日（日）、大阪・丸善インテックアリーナ『Cygames presents RISE WORLD SERIES 2021 OSAKA2』─―。
今大会には、那須川天心（TARGET/Cygames）は出場しない。それでも、メインイベントにとっておきのスーパーファイトが組まれている。
▼３分×３ラウンド（延長１ラウンドあり）－65キロ契約
原口健飛（FASCINATE FIGHT TEAM）vs.ペットパノムルン・キャットムーカオ（タイ）
この一戦は本来、２月28日の横浜アリーナ大会で行われるはずだった。しかし、コロナ禍によりペットパノムルンが来日できずに延期となっていた。そのスーパーファイトが、いよいよ実現するのだ。
GLORYフェザー級王者に、「RISE」の気鋭・原口が挑む図式である。
ペットパノムルンは、ムエタイのリングでキャリアを積みWMC世界ライト級王座を獲得した後、2016年から「GLORY」に闘いの舞台を移した。以降、不可解な判定で敗者とされることもあったが、2018年９月にロビン・ファン・ロスマレン（オランダ）に判定圧勝し第６代GLORYフェザー級のチャンピオンベルトを腰に巻いた。
以降、強敵相手に４度の防衛を果たしている。
サウスポースタイルで得意技は左ミドルキック。まだ26歳と若いにもかかわらず169勝37敗（27KO）４分の戦績を誇る完成度の高いファイターだ。
対する原口は、カラテ出身の有望株。
高校生時にはプロボクシングのリングに上がり、西日本新人王決定戦で準優勝。その後、キックボクサーに転向、2020年1月に秀樹（新宿レフティージム）を右フックで1ラウンドKOしRISEライト級王座を獲得した。
同年10月には、『RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63キロ級トーナメント』でも優勝。今年に入ってからも白鳥大珠（TEPPEN GYM）、タップロン・ハーデスワークアウト（タイ）を連破、着実に実力をつけ勢いに乗っている。
戦績20勝（12KO）1敗1分、伸び盛りの23歳だ。
「RISE」を俺が引っ張る！
（写真：９月23日、RISE横浜大会でタップロン・ハーデスワークアウトと対戦した原口＜右＞。ダウンを奪われるも、その後に巻き返し３ラウンドKO勝利を収めた ⓒRISE）
キャリアで優り格上なのは、ペットパノムルン。大方の予想も8-2でタイ戦士優位である。
だが、原口は言う。
「相手が強敵であることは、もちろん分かっています。左の蹴りは要警戒ですね。でも、テクニックとスピードでは自分の方が上回っていると思います。（ミドルキックで）腕を折られるかもしれないけど、それを覚悟して積極的に攻め倒しにいきたい」
強烈な打撃を繰り出すだけではなく、巧者でもあるペットパノムルン。原口がどこまで喰い下がれるか、攻略の糸口を見出し、一撃を放てるかがポイントか。もし、GLORY王者を倒すようなことになれば「RISE」新時代の扉が開く。
エース那須川が、来年春の試合を最後にキックボクシングのリングを離れプロボクサーに転向する。今後、「RISE」を自らが引っ張っていきたい思いも原口には強くあるようだ。
「それは、僕しかいないと思っています。天心君は、いろんなテレビに出たりして盛り上げてきた。でも、天心君は天心君、原口健飛は原口健飛……これからは僕なりのやり方で『RISE』を盛り上げていきたい」
ペットパノムルンは、どこまで強いのか？ 原口がいかなる闘い方を見せるのか？ 番狂わせはあるのか？ 秋の浪速の大一番、見逃せない。
近藤隆夫（こんどう・たかお）
1967年１月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を１年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から２年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ～すべては敬愛するエリオのために～』（文春文庫PLUS）『情熱のサイドスロー ～小林繁物語～』（竹書房）『プロレスが死んだ日。』（集英社インターナショナル）『ジャッキー・ロビンソン ～人種差別をのりこえたメジャーリーガー～』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』（いずれも汐文社）ほか多数。
連絡先＝SLAM JAM（03-3912-8857）
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