10月に行われた今年のドラフト会議で、独立リーグの選手は計11人が指名を受けました。指名者の詳細は以下の通りです。

 

◎2021年ドラフト会議独立リーグ指名者
◎四国アイランドリーグplus
徳島・村川凪(外野手) 横浜DeNA育成1位
徳島・古市尊(捕手) 埼玉西武育成1位
高知・宮森智志(投手) 楽天育成1位

 

◎BCリーグ
福島・園部佳太(内野手) オリックス育成2位
群馬・速水隆成(捕手) 北海道日本ハム育成2位
茨城・山中尭之(外野手) オリックス育成1位
茨城・大橋武尊(外野手) 横浜DeNA育成3位
信濃・岩田幸宏(外野手) ヤクルト育成1位
富山・速水将大(内野手) 千葉育成2位
石川・高田竜星(投手) 巨人育成2位

 

◎九州アジアリーグ
火の国・石森大誠(投手) 中日3位

 

 四国アイランドリーグplusはこれで17年連続でNPBドラフトの指名を受け、通算64人(途中移籍を含めると72人)の選手をNPBに輩出しました。またBCリーグは14年連続の指名。同リーグの村山哲二代表は「全員が育成指名ではありますが、リーグ史上最多の7名を指名頂きました。事前には40名近い選手に調査書が届いていましたが、指名された選手、指名されなかった選手ともに、すべての挑戦した選手達にエールを送りたいと思います」と語っています。また今年からリーグがスタートした九州アジアリーグは、リーグMVPを獲得した石森が初指名となりました。

 

 これまでアマチュア、特に高校球児の卒業後の進路はNPBへ進む他は、大学や社会人野球が受け皿でした。だが、近年は独立リーグへ進む球児も増え、指導者の多くも教え子の進路のひとつとして独立リーグを勧めることも多くなっています。その理由についてBCリーグ村山代表はこう分析しています。

 

「社会人野球の企業チームが減り、受け皿が少なくなっていることも独立リーグを目指す理由のひとつでしょう。さらに社会人野球は高校生なら3年、大学生も2年と、ドラフト指名まで待たなければなりません。また大学に進学すれば、次に指名のチャンスが巡ってくるのは4年後です。それが独立リーグならば卒業後1年でドラフト指名対象です。こうしたことから高校で指名を逃した選手が、1年でも早くプロへ、と独立リーグを目指す傾向は増加しています」

 

 さらにこう続けました。

 

「NPB出身者が指導者や選手として独立リーグのチームに加入しているのも大きい。一流の世界出身者の指導を受けたり、また野球観に触れることができるのも独立リーグの魅力のひとつだと考えています」

 

 さて、こうしたアマチュアの受け皿としての地位を築いた独立リーグに、来季スタートの新リーグが創設されました。BCリーグに所属していた石川、富山、滋賀の3球団に福井の新球団を加えた4球団による日本海オセアンリーグ(NOL)です。同リーグ設立の理由について黒田翔一代表はこう語りました。

 

「BCリーグは昨年から12球団に規模を拡大しましたが、同時に新型コロナウイルスの影響により、他地区との交流が難しくなり、西地区の4球団(石川、富山、滋賀、福井)は、他地区と交流がまったくできない状態が続きました。もともと西地区は、東地区などと比べれば商圏規模が小さい。西地区で新リーグをつくれば移動時の感染リスクも少なく、また移動コストなども抑えられます。そうしたことを考え、新リーグ設立に至りました」

 

 新リーグNOLでは来季、年間50試合程度を予定しており、これまでのホーム&ビジターではなく、土日を基本に、4球団が1箇所に集まって、1チームが2試合ずつを行う集中開催形式を採用します。これは移動コストの削減はもちろん、ファンにとっても全チームの試合をひとつの場所で見られるというメリットがあります。また、同じことはNPB球団のスカウトにも当てはまります。すなわち、新リーグNOLの選手を一箇所でチェックできる、それが集中開催の最大のメリットとなります。

 

 すでに新リーグはトライアウト、ドラフトも実施し、着々と来季の開幕に向け準備が進んでいます。BCリーグが標榜した「ふるさとプロ野球」という取り組みが、独立リーグに新たな流れを生み出したともいえるでしょう。新リーグNOLを含めた独立リーグに来季も注目です。

 

(まとめ・文/SC編集部・西崎)


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