(写真:JAAFの尾縣会長<右>にトロフィーを授与される池田。競歩界4人目のMVPだ)

 9日、日本陸上競技連盟(JAAF)は「JAAF ATHLETICS AWARD 2021」を都内で行い、年間最優秀選手賞にあたる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に東京オリンピック男子20km競歩で日本人初の銀メダルを獲得した池田向希(旭化成)を選出した。優秀選手賞は3月のびわ湖毎日マラソンで日本記録を更新した鈴木健吾(富士通)のほか、東京オリンピック男子20km競歩銅メダルの山西利和(愛知製鋼)、同3000m男子障害7位入賞の三浦龍司(順天堂大学)、同女子1500m8位入賞の田中希美(豊田自動織機TC)が選ばれた。

 

 今年で15回目を迎える「JAAF ATHLETICS AWARD」は、夏に行われた東京オリンピック・パラリンピックで活躍した選手たちが授賞式の中心となった。“今年の顔”、「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは男子20km競歩銀メダリストの池田だ。浜松日体高校2年で長距離走から転向して始めた競歩。東洋大学入学後、メキメキと力をつけた。18年の世界競歩チーム選手権(男子20km)、19年のユニバーシアード(同)で金メダルを獲得。そして、この夏のオリンピックで日本競歩界初の銀メダルを手に入れた。

 

(写真:スピーチで関係者に感謝を述べる池田。大学卒業後も東洋大を拠点に練習を積んでいる)

 今回射止めた「アスリート・オブ・ザ・イヤー」について、23歳は関係者への感謝を述べた後、こうスピーチした。

「2年前に競歩の鈴木雄介選手がこの賞を受賞した時、私も会場で拝見していました。その時に“いつかこの賞を受賞したい”と目標になりました。“この賞を受賞できるのは、満足のいく結果を出した時なんだろうな”と勝手に未来を想像していました。本日この賞をいただきましたが、この1年の結果を振り返って100%満足できたかというと、そうではなかった。それはまだまだ競技力でもそうですし、いち人間としてももっともっと成長できると思ったからです。今回この賞をいただいたことをひとつの糧にし、またこの賞の名に恥じぬよう今後も精進していきたいと思っております。そして欲を言えば来年もまたこの賞を受賞できるように日々励んでいきたい。競技を通じて日本陸上界のますますの発展に少しでも貢献できればと思っております」

 

 競歩界では、谷井孝行、荒井広宙、鈴木に次ぐ4人目の“年間MVP”獲得だ。「競歩がメジャーな種目になってほしい。選手が盛り上げることができれば魅力は伝わるはず。今後に残せるよう貢献していければと思います」と抱負を述べた。“オリンピック銀メダリスト”という肩書きは「“簡単には負けられない”という自分にプレッシャーをかけられる」と言い、重荷ではなくモチベーションに繋がるとプラスに捉えている。来年は世界選手権とアジア競技大会、再来年は世界選手権、3年後にはパリオリンピックが控える。「1年1年結果を残せるよう精進していきたい」。まずは来年2月の日本選手権、3月の世界競歩チーム選手権に臨む予定だ。

 

(文/杉浦泰介、写真提供/日本陸上競技連盟/フォート・キシモト)