皆さん、はじめまして。白寿生科学研究所所属アスリートの髙田大志です。今回のコラム特別編は私が執筆を担当させていただきます。

 

 人間性と競技力の向上

 昨年10月16日、17日の両日、東京・東京辰巳国際水泳場で行われた日本選手権(25m)水泳競技大会に出場した私は、50m平泳ぎ2位、100m平泳ぎ3位と、ともに自己ベスト更新といいう好成績を収めることができました。沢山の応援をありがとうございました。

 

 この大会を終えての感想は、正直に言えば「悔しかった」の一言です。実は、日本選手権でメダルを獲得したのは今回が初めてだったのですが、メダル獲得の嬉しさというよりも、負けたことの悔しさの方が大きかったです。

 

 どれだけ自己ベストが出ても、初めて表彰台に登ったとしても、負けてしまうとこんなに悔しいのだと、初めて気が付きました。

 

 私が練習している母校・近畿大学のプールには、「勝たなおもろない」という垂れ幕が飾ってあります。この言葉の意味がレース後の自分には分かった気がします。

 

 普段からライバルに負けると思って練習なんてしていないし、当然、勝つための練習をしています。だからこそ悔しいのだと改めて感じることができました。

 

 今までの自分だったら、この結果(3位、3位)に満足していたと思いますし、この悔しさを感じることが出来ただけでも自分の成長を感じられました。もちろん悔しさだけでなく、ようやく自分も全国で戦える選手になってきたのだと自信がつきました。今後の自分にワクワクできると実感した大会でした。

 

 大学を卒業し、社会人スイマーとなってもうすぐ1年が経とうとしています。

 

 この1年で一番感じた変化は、学生の頃とは違い、会社の名前を背負って戦っているので、情けない結果を残せないという重圧感やプレッシャーの大きさです。

 

 初めの頃は、そのプレッシャーの大きさに弱気になってしまうことも多々ありました。ですが、プラザのお客様や会社の方に試合結果を報告した時に、自分のことのように喜んでくださっている姿を見ると、「頑張って良かったな」と思いましたし、もっといい結果を報告したいと思うようになりました。

 

 今では期待や応援がプレッシャーではなく、自分の頑張れる力の源として感じられるようになっています。

 

 新年を迎え、パリオリンピックまで、あと2年となりました。2年と聞くと本当にあっと言う間なのだろうなと思います。私の目標は、出場することはもちろんですが、メダルを獲得することです。今はまだ世界の選手とはタイムの差がありますが、あと2年で縮めてみせます。

 

 私が目標を決める上でいつも大事にしている言葉があります。

 

「成功の反対は失敗ではなく、何も行動に起こさないこと」

 

 メダル獲得という目標は、周りからすれば夢を見ているだとか、そんな目標を達成できるはずないと思われるかもしれません。ですが、どんな目標も挑戦してみなければ、達成するかどうかも分からないし、無理だと最初から諦めて行動しないのはすごくもったいないことだと思います。

 

 たとえ成功しなくてもその過程が自分の成長の糧になるのであれば、私はこの挑戦する気持ちを胸にパリオリンピックまで突き進んでいきたいと思います。

 

 最後になりますが、私が競技をする上で一番大事にしていることを伝えたいと思います。それは、「競技力よりも人間性を第一に高めること」です。

 

 どれだけ泳ぎが速くなったとしても、人間性に疑問がある選手は誰からも応援されませんし、サポートしたいとも思われません。そのような選手を僕はアスリートと呼べないと思います。競技の結果だけではなく、人として尊敬され、応援したいと思っていただける。そうなってこそ本当のアスリートだと思いますし、そういう選手が上に行ける世界だと考えています。

 

 この考えをいつまでもブラさず、いつも支えてくださる皆さんへの感謝を忘れずにこれからも水泳を続けていきますので、応援していただけると幸いです。

 

髙田 大志(たかだ・たいし)プロフィール
1998年5月12日大阪府大東市生まれ。2歳の時に両親がスイミングスクールのコーチをしていたことをきっかけに水泳を習い始める。小学校3年生の冬に初めて全国大会に出場し、そこから水泳一筋の生活に。その後思うような結果は出ず苦しんでいたが、近畿大学入学をきっかけに一気に飛躍。東京オリンピック代表選考会では、100m、50m平泳ぎともに4位に入り、日本選手権(25m)水泳競技会では、50m平泳ぎ2位、100m平泳ぎ3位。学生最後の2019年は、近大の主将としてチームを率い、インカレでチーム総合4位という成績を収めた。2020年4月、近大を卒業後、株式会社白寿生科学研究所に入社。現在は競技活動と仕事を両立しながら、競泳の魅力や栄養指導などを様々な店舗を周り発信している。


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