年が明け、カタールワールドカップアジア最終予選が再開しました。日本代表は薄氷を踏むような状態ですが、27日に埼玉スタジアムで行われた中国代表戦では2対0で勝利を収めましたね。この一戦を振り返りましょう。

 

 日本はグループB、4勝2敗勝ち点12の2位で中国戦を迎えました。日本は4-3-3、中国は4-2-3-1の布陣でした。負けられない一戦の中、まずは勝ち点3を得られて良かった。この連戦で勝ち点6がマストの初戦。DF吉田麻也(サンプドリア)、DF冨安健洋(アーセナル)がケガで戦線離脱し、多少の不安がありましたが、DF板倉滉(シャルケ04)とDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)が見事に穴を埋めました。しっかり集中して連係も取れているように見えました。2月1日のサウジアラビア代表戦もこの2人で良いと思います。

 

 MF守田英正(サンタクララ)は攻守において目立っていましたね。ボールを奪って次の展開へと、なかなか憎いプレーを見せてくれました。あれだけボールをよく追ってくれるとDFはかなり助かります。センターバックの2人の負担を守田がかなり軽減していました。代表内での存在感も増してきていますし、自信を持ってプレーしていますね。

 

 ワンタッチでのパス回しからチャンスを多く作っていただけに、2点目を奪うのがちょっと遅かった印象もあります。MF南野拓実(リバプール)は少し力んでいますね。彼のスピード、キレ、思い切りの良い切り込みが影を潜めています。焦りなどもあるでしょうが、もっと落ち着いてプレーしてほしいです。

 

 サウジアラビアは中国よりもっとプレー強度が高い。両サイドからの攻撃は厄介です。サイドとボランチのあたりでできるだけ、ボールを奪取したいです。

 

 左サイドバックとして途中からピッチに入ったDF中山雄太(スヴォレ)は素晴らしいクロスでアシストを記録しました。先発で起用しても面白いと僕は思いますよ。

 

 企業からのスポンサード

 

 しかし、メンバーリストを見ると大学出身の選手が増えましたね。23名中5名が大卒です<明治大学サッカー部を途中で退部しプロ契約したDF長友佑都(FC東京)は除く>。今回はケガで招集を見送られたMF三笘薫(ユニオン・サン=ジロワーズ)とFW古橋享梧も大卒ですね。

 

 高校、大学のサッカー部も随分と練習環境が整備されてきました。地元の鹿島学園は人工芝ピッチが2面ありますが、それでも足りない時はウチの鹿島ハイツの施設を使用しています。

 

 ジュニアユースからユース、ユースからトップに昇格できなかった選手が高体連、大学連に流れ、そこ努力してプロになるケースが増えています。部活に企業がスポンサードするケースも増えてきました。プロテインや栄養補助飲料などを提供してくれる環境も整っています。プロになるためのしっかりとした体づくりができるのは選手にとっては大きいでしょう。あ、もちろん“根性”も必要ですよ(笑)。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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