5日、北京冬季オリンピックのフリースタイルスキー・男子モーグル決勝が行われ、バルター・バルベリ(スウェーデン)が83.23ポイントで金メダルを獲得した。オリンピック2連覇を狙ったミカエル・キングズベリー(カナダ)が82.18ポイントで銀メダル。2018年平昌オリンピック11位の堀島行真(トヨタ自動車)が81.48ポイントで3位に入り、銅メダルを手にした。18年平昌オリンピック銅メダリストの原大智(日本スキー場開発クラブ)は7位入賞だった。

 

 4年前、金メダル候補に挙げられながら11位に終わった堀島が、前回の原に続く銅メダルを獲得した。

 

 今大会は前年の世界選手権はデュアルモーグルの銅メダルのみ。前年の世界選手権2冠で迎えた平昌オリンピックと比べれば、少し寂しく感じるが今季W杯3勝(デュアルモーグル1勝)でランキングは2位だ。平昌オリンピック金メダリストでW杯ランキング1位のキングズベリー(6勝)と常に優勝を争う存在となっていた。

 

 しかし前日に行われた予選1回目は16位で一発通過はならなかった。堀島はこの日20人が参加した予選2回目に回った。「昨日もつらかったし、今日の朝もつらかった」。不安に苛まれながらも堀島はパフォーマンスを尻上がりに上げていく。予選2回目で5位に入り、20人で争われる決勝1回目に進んだ。

 

 決勝1回目は6番目に滑走。77.95ポイントと予選2回を上回る得点で5位に入り、上位12人までの決勝2回目にコマを進めた。決勝2回目も安定したターン、エアで79.58ポイントを記録。3位に入った。上位6人までの3回目、スーパーファイナルには、日本勢では堀島のみが進んだ。原は76.82ポイントで7位、オリンピック初出場の杉本幸祐(デイリーはやしや)は75.73ポイントで9位。スーパーファイナルへの進出を逃した。

 

 4番目に滑走した堀島。第1エアのフルツイスト着地後、バランスを崩しかけたが、ミドルセクションで持ち直す。第2エアでコーク1080を決め、23秒86で滑り切った。81.48ポイントで暫定トップに立ち、この時点でメダルは確定した。あとはその色だけだ。

 

 直後の滑走となったキングズベリーはスピードこそ堀島より1秒以上遅かったが、W杯通算71勝の絶対王者が抜群のターンを見せた。エアのスコアは堀島と0.03ポイントとわずかな差。ターンのスコアは49.6ポイントをマークし、2.20ポイント差をつけ、トータルでも堀島を0.70ポイント上回った。

 

 最終滑走のバルベリは、スピードは堀島より速い23秒70(16.75ポイント)、2つのエアは17.68ポイントとスーパーファイナルに出場した6人の中で最高スコアを叩き出した。合計スコアでも、キングズベリーを1.05ポイント上回り、W杯未勝利の伏兵が金メダルを射止めた。キングズベリーは銀メダルで3大会連続の表彰台。堀島は3位で自身初のオリンピックメダルを獲得した。

 

「最低限メダルと目標を掲げていた。それを達成できてよかった」と堀島。スーパーファイナルを「ミスをしたけど自分の全部が出せた」と振り返った。今大会の日本勢メダル第1号となったが、24歳は「本当の夢は金メダル。またここから頑張りたい」と前を向いた。

 

(文/杉浦泰介)