5日、北京冬季オリンピックのノルディックスキー・男子ジャンプ個人ノーマルヒル(NH)決勝が国家スキージャンプセンターで行われ、小林陵侑(土屋ホーム)が275.0ポイントで制した。日本勢としては1998年長野オリンピックの船木和喜(個人ラージヒル)以来の金メダル獲得。今大会日本勢金メダル第1号となった。2位はマヌエル・フェットナー(オーストラリア)、3位にはダビド・クバツキ(ポーランド)が入った。その他の日本勢は陵侑の兄・潤志郎(雪印メグミルク)が27位。オリンピック初出場の佐藤幸椰(雪印メグミルク)が32位、中村直幹(フライングラボラトリー)が38位だった。

 

 金メダル大本命に挙げられていた小林陵侑が、重圧を感じさせぬ安定したジャンプを2本揃えた。

 

 21歳で出場した18年平昌オリンピックは個人NH7位、個人ラージヒル(LH)10位、団体6位だった。その後の飛躍はめざましく、18-19シーズンは日本人初の総合優勝に輝いた。今季も6勝を挙げ、総合2位に付けている。

 

 前日の予選はK点(NH95m)を越える99.0mのジャンプで4位通過、決勝は最後から4番目に登場となった。ジャンプには不利な追い風という条件の下、104.5mの大ジャンプ。美しい飛型で145.4ポイントの高得点をマークし、2位に6.2ポイント差をつけた。1mが約2ポイント分のため、3m以上のリードをつけたことになる。

 

 金メダルがかかる2本目のジャンプは最後の出番。小林陵侑が暫定トップのフェットナーを上回るには98.0mが必要だった。1本目以上の追い風と、“逆風”が吹いたかたちだが、何のその。99.5mを飛び、着地後、勝利を確信してガッツポーズを何度も見せた。兄・潤志郎と抱き合って喜んだ。得点が表示されると、日本のチームメイトたちも祝福。肩車され、日の丸を誇らしく掲げた。

 

「2本ともいいジャンプ揃えられてうれしいです」と冷静にオリンピック1冠を受け止めた。日本勢のスキー・ジャンプ金メダルは98年長野オリンピックの船木以来、同種目の金メダルとなると72年札幌オリンピック(当時は70m級)の笠谷幸生以来、50年ぶりの快挙である。小林陵侑は今後、混合団体、男子個人LH、男子団体に出場する予定。その胸にいくつメダルを掛けるか注目だ。

 

(文/杉浦泰介)

 

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