大相撲の時津風部屋の序ノ口力士・時太山(本名・斉藤俊さん、当時17歳)が昨年6月、稽古後に急死した事件で、愛知県警は7日、当時の時津風親方と3人の兄弟子を傷害致死容疑で逮捕した。元親方らはビール瓶や金属バット等で斉藤さんの体中を殴り、暴行の末、死亡させた疑いがもたれている。
 斉藤さんの遺体には体中にあざがあり、外傷もみとめられたものの、警察は初期段階で「事件性なし」と判断していた。ところが、遺族が新潟大に依頼した鑑定の結果、「多発外傷によるショック死」と判明。部屋内での暴行疑惑が浮上した。

 その後の事情聴取では、親方が斉藤さんをビール瓶で殴ったことを認め、相撲協会は10月に時津風親方を「師匠としてあるまじき行動をとった」として解雇処分を下していた。一方、県警も名古屋大学に遺体の再鑑定を依頼。2度の組織検査を行った結果、暴行との因果関係があると判断できたため、逮捕に踏み切った。

 昨年はゴタゴタが続いた角界だったが、朝青龍騒動も横綱の復帰でひと段落し、白鵬との相星決戦で初場所は大いに盛り上がった。そんな矢先の逮捕は相撲界の前途が決して楽観できないことを物語っている。このほど無風で4選された北の湖理事長にとって、一層、厳しい舵取りが求められそうだ。
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