(写真:日本人初のUFC王者を目指す平良。陣営は3年以内での戴冠を目標に掲げている)

「こんなに早くUFCに出場できる機会が得られるとは思っていませんでした。嬉しいです。応援してくれる皆さんの期待に応えられるよう精一杯頑張ります」(平良達郎)

 

 今月早々に、嬉しいニュースがラスベガスから飛び込んできた。

 修斗世界フライ級王者・平良達郎(Theパラエストラ沖縄)が世界最高峰の格闘技団体UFCと正式契約を結んだというのだ。

 

 驚いた。平良は実力を伴った新鋭だが、いきなりUFCと契約を結べるとは思っていなかったからだ。ONE、RIZIN、あるいはBellatorといった舞台で闘い、実績を積んだ上でUFCに挑むことになると見ていた。

 

 沖縄で生まれ育った平良は、格闘技歴約7年の22歳。

 兄の影響もあり高校入学後に、Theパラエストラ沖縄に通い始めた彼は、松根良太(第3代修斗世界フェザー級王者)指導の下、メキメキと上達していった。

 2016年秋にアマチュアの試合(琉球フリーファイト)に出場し、その後10連勝。「全日本アマチュア修斗選手権」でも優勝を果たした。2018年夏のプロデビュー後も勝利を重ね、昨年7月に修斗世界フライ王座を奪取している。

 

 昨年11月には『VTJ2021』でチリの王者アルフレド・ムアイアドにチョークを決めて完勝。アマチュアを含め無傷の20連勝を達成している。

 UFCサイドが、平良の闘いぶりを高く評価したからこそ、今回の契約に至ったのだろう。

 

 日本人初のUFC王者に挑む!

 

(写真:昨年11月の新木場大会での勝利後、「世界と戦いたい」と語っていた)

「簡単に勝てるとは思っていません。厳しい闘いになることは覚悟しています。自分にとってUFCに出ることが目標ではない。UFCでチャンピオンになることを目指しています」

 そう話す平良は現在、ラスベガスでトレーニングを積んでいる。オクタゴンデビューは、4月30日(現地時間)、米国での「UFC FIGHT NIGHT」になる模様(対戦相手は未定)だ。

 

 UFCには、これまでも多くの日本人選手が挑んできた。

 1990年代には、高橋義生、高阪剛、桜庭和志、安生洋二……。その後も宇野薫、桜井“マッハ”速人、五味隆典、須藤元気、山本“KID”徳郁、岡見勇信、秋山成勲、川尻達也、中村K太郎、石原夜叉坊、水垣偉弥、日沖発、佐々木憂流迦、そして堀口恭司、ほかにも女子の村田可南子を含めまだまだいる。名前を挙げればキリがない。だが、いまもって誰ひとりとしてUFCのチャンピオンベルトを腰に巻けていないのだ。

 

 打撃、組み、寝技いずれも長けている平良は、総合的な強さを誇り一本勝ちが多いファイターで、UFC向きのスタイルを有している。

 沖縄の新星は、果たして何処まで強いのか? 強くなるのか? 数年後に日本人初のUFC王者となる可能性を秘めた逸材と見る。期待して注視したい。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶2月12日(土)、東京・新宿フェイス/「RISE EVOL.10&GIRLS POWER.6」

Erika♡vs.宮﨑若菜ほか。

▶2月16日(水)、東京・新宿フェイス/「RISE FIGHT CLUB」全試合オープンフィンガーグローブ・マッチ、相内 誠vs.安彦孝真ほか

▶2月20日(日)、東京・後楽園ホール/「Krush.134」ウェルター級タイトルマッチ、松岡力vs.寧仁太・アリほか

▶2月23日(祝)、静岡・エコパアリーナ/「RIZIN TRIGGER 2nd」クレベル・コイケvs.佐々木憂流迦ほか

▶2月23日(祝)、東京・後楽園ホール/「RISE155」一馬vs.テーパリット・ジョウジムほか

▶2月26日(土)、東京・後楽園ホール/「DEEP106 IMPACT」小見川道大引退試合ほか

▶2月27日(日)、東京体育館/「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN」第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメントほか

▶2月27日(日)、大阪・すみのえ舞昆ホール/「ACF70th」グラップリング・ライト級王座決定戦、尾崎信行vs.JOY若松ほか

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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