13日、北京冬季オリンピックのスピードスケート女子500mが国家スピードスケート館で行われ、髙木美帆(日体大職員)が37秒12で銀メダルを獲得した。髙木は1500mに続き、今大会2個目の銀メダル。金メダルは37秒04のエリン・ジャクソン(アメリカ)が、銅メダルには37秒21のアンゲリナ・ゴリコワ(ROC)が輝いた。2018年平昌大会金メダルの小平奈緒(相沢病院)は17位、同8位入賞の郷亜里砂(イヨテツスピードクラブ)は15位だった。

 

「正直驚いている」

 そう振り返った髙木は今大会5種目にエントリーしているが、スプリンターが揃うこの種目は決して得意とは言えない。「1500mが終わった後、チームパシュートのことを考えて出るか迷っていた」というほどだ。

 

 全15組中第4組と早く出番が回ってきた。アウトスタートの髙木はピストルが打ち鳴らされるとすぐに反応。100m通過は10秒41、前の3組の選手よりも速いスタートを切った。スピードに乗ったまま、滑らかなコーナリングからバックストレートへ。

 

 最後のコーナリングもスムーズに移行、同組のバネッサ・ヘルツォーク(オーストラリア)より0秒16先着した。37秒12。カルガリーの高速リンクで記録した自己ベストを0秒10塗り替えた。「渾身のレースができた」とゴール後、何度もガッツポーズを見せた。

 

 残りは11組。その中には前回の平昌オリンピックで金メダルを獲得した小平(第13組)、今季W杯8戦中4勝のジャクソン(第14組)らがいる。髙木は一旦リンクから引き上げ、エアロバイクでリカバリーを図りながらライバルたちの動向を見守った。

 

 13組は小平と、昨年の世界選手権女王ゴリコワが滑った。小平はスタートでつまずき、スピードに乗り切れず38秒09で盟友イ・サンファ(韓国)に続く同種目の連覇はならなかった。ゴリコワも37秒台前半をマークしたが、髙木の記録には0秒09届かない。

 

 残りは2組。だが髙木の金メダルはジャクソンに阻まれた。持ち前のスプリントを生かし、出だしの100mは10秒33で通過した。直線では力強く氷を蹴り、37秒04でフィニッシュ。暫定トップに立った。最終15組は上位3名の記録を上回ることができず、ジャクソン、髙木、ゴリコワの順で決着がついた。

 

「挑戦して良かった」。髙木にとって500mの銀メダルは本人にとっても“嬉しい誤算”だったようだ。「頑張っている自分にとって良いこと」。この後の種目(チームパシュート準決勝、1000m)に弾みをつけた。

 

(文/杉浦泰介)

 

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今大会1500m(2022年2月8日更新)