15日、北京冬季オリンピックのノルディックスキー複合個人ラージヒル(LH)が国家距離センターなどで行われた。渡部暁斗(北野建設)が27分13秒9で3位に入り、3大会連続の表彰台。LHでは初のメダル獲得となった。金メダルは27分13秒3でヨルゲン・グローバク、銀メダルには27分13秒7でイエンスルラース・オフテブロが輝き、ノルウェー勢のワンツーフィニッシュ。山本涼太(長野日野自動車)は12位、渡部暁斗の弟・善斗(北野建設)は25位、永井秀昭(岐阜日野自動車)は31位だった。

 

 最後の最後まで分からぬ混戦を制したのはグローバク。渡部暁斗は力を振り絞ってスパート勝負に挑んだが、わずか0秒6及ばなかった。

 

 6日前の個人ノーマルヒル(NH)、2大会連続銀メダルを獲得していた種目だったが、7位入賞に終わっていた。LHは、2個の銀メダルを獲得したNHとは違い、初出場の2006年トリノオリンピックから過去4大会で19位(個人スプリント=当時。距離は7.5km)、9位、6位、5位。メダルには届いていない。

 

 NHには個人戦大本命のヤールマグヌス・リーベル(ノルウェー)が復帰。W杯総合3連覇中、昨年の世界選手権は個人と団体NH2冠を達成した。平昌オリンピックは個人2種目4位、団体で銀メダル。今回は金メダル大本命だったが、現地の検査で新型コロナウイルス陽性反応を示し、NHは欠場していた。

 

 前半のジャンプはそのリーベルがヒルサイズ(140m)を超える最長不倒の142mを飛び、139.8ポイントでトップに立った。135mを飛んだ渡部暁斗は126.4ポイントでリーベルと54秒差の5位で後半の距離(10㎞)に臨んだ。

 

 距離は2.5kmの周回コースを4周する。トップのリーベルは途中でコースを間違えるアクシデント。2位グループを引っ張る渡部暁斗は3.5kmで先頭に追いついた。その後も渡部暁斗が中心となって先頭グループを牽引する。

 

 勝負はラスト1周までもつれた。直線を前に渡部暁斗はマヌエル・ファイスト(ドイツ)、ヨハネス・ランパルター(オーストラリア)らとのスパート勝負。先頭に立ち、逃げ切りを図った。前を行く3人をグローバクとオフテブロが猛追。渡部暁斗は直線を前にグローバクに抜かれ、ゴール前でオフテブロにもかわされた。

 

「ハードなレースだった。ベストを尽くして、また金メダルに近いところまできたが、最後は(力)が残っていなかった」と渡部暁斗。悲願の金メダルには届かなかったが、3大会連続メダルで日本のエースは実力を示した。「一つ形に残すことができて良かった」と胸を張った。

 

(文/杉浦泰介)