2月10日からの宮崎キャンプを終え、東京に帰ってきました。まずは公式戦初戦となる今月6日からのJABAスポニチ大会に向け、選手たちを日々、鍛えているところです。

 

ドラフト候補・飯田

 キャンプでは、プロ・アマ合わせて5試合行うことができました。オリックス2軍には6-7と敗れたものの、福岡ソフトバンク2軍戦は1-1で引き分け、通算2勝1敗2分け。大学生、社会人との試合は無敗(2勝1分け)でしたが、この時期は勝ち負けよりも新人を含め、公式戦出場機会の少なかった若手を試したい。若手のアピール次第では、チームの競争は激化しますから、経験を積ませながら、底上げを図っていきたいと思っています。

 

 今季のチームスローガンは「跳戦~挑み続けろ~」。私が監督に就任してから「超戦」「頂戦」と字はそれぞれ違いますが、“挑戦の第3章”となります。都市対抗は2年連続ベスト4という好成績を収めることができましたし、昨季は日本選手権に6年ぶりに出場し、ベスト8に入りました。社会人ベストナインにも中川智裕と須田凌平が選ばれ、選手たちも自信がついてきたと思います。今季は一戦必勝は変わりませんが、5月の都市対抗予選から逆算してチームをレベルアップさせていくつもりです。都市対抗予選まではJABA大会も3大会ありますので、一戦一戦、ベストを尽くし、その積み重ねで頂点に到達したいと思います。

 

 さて今季のキーマンは「全員」と言いたいところですが、それでは面白くないので、何人かの選手の名前を挙げていきましょう。4月で入社6年目になる草海光貴はこの2年間でチームのエースに成長しました。当然、“3年目の進化”に期待しています。彼を中心にピッチャー陣はより一層厚みを持たせていきたい。

 

 草海の1期後輩となる22歳の飯田大翔は今年のドラフト候補に挙げられる1人です。キャンプ中に行われたソフトバンク2軍とのオープン戦では、5回無失点と球場に訪れたスカウトたちにアピールしました。彼が投じる140km後半のストレートは、回転軸がしっかりしていて力強さがあります。変化球も縦のカーブ、スライダー、カット、フォークと良いものを持っている。草海に続く先発の柱となる可能性は十分にあります。

 

セガサミーの大谷

 テンポの良いピッチングが持ち味の大卒2年目の舘和弥も面白い存在です。後ろには氏家優悟、横田哲、石垣永悟といった今年30歳になるベテランピッチャーが控えています。彼らのような経験のある選手たちは、キャンプで調子が上がっていなかったとしても、公式戦で絶対必要になってくる。やっぱりみんなの名前が挙げたくなってしまうので、ピッチャーの話はここまでにしておきましょう。

 

 野手は根岸晃太郎、北川智也、中川、砂川哲平の内野陣が安定しています。ウチの“走れる4番”根岸には、今季も主軸として期待しています。中川は昨年秋のドラフト指名されなかったものの、都市対抗本選で2本塁打とそのポテンシャルの高さを証明してみせました。セカンドを守る北川はキャンプから元気が良い。この勢いのまま、公式戦でも躍動して欲しいですね。

 

 外野は本間諒、市根井隆成という昨季までのレギュラーが抜けました。定位置を掴めていなかった選手たちからすればチャンス。大いにアピールして監督である私を悩ませて欲しいですね。中でも高卒4年目の大谷拓海が化けるかどうか。昨季MLBの二刀流で大活躍したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平じゃない方の大谷ですが、彼も中央学院高校時代に注目を浴びたスラッガーです。今季はウチの大谷にも大いに期待してください。

 

カープは転換期

 また今季のキャンプ地・宮崎では懐かしい面々と顔を合わすことできました。オリックスは1軍と2軍のキャンプ地が隣接している関係で、2軍と対戦した際には1軍の中嶋聡監督、水本勝己ヘッドコーチ、高山郁夫投手コーチが挨拶に来てくれました。ソフトバンク2軍と対戦した会場の近くでは、1軍が埼玉西武と試合をしていたので、ソフトバンクの藤本博史監督、西武の辻発彦監督、松井稼頭央ヘッドコーチ、平石洋介打撃コーチとも話をしました。同窓会とまでは言いませんが、プロ野球の世界で一緒に戦ってきた旧友たちとの再会は、賑やかで楽しいものでした。

 

 プロ野球では、古巣の広島カープがやはり気になります。メジャーリーグ移籍を目指す鈴木誠也の抜けた穴をどう埋めるか。“ポスト誠也”に名乗りを上げるルーキー中村健人と末包昇大に注目が集まっています。2人とも社会人出身で当然即戦力として見られているでしょう。佐々岡真司監督とも直接話す機会があり、「大いに期待している」と言っていましたから、オープン戦でもチャンスを与えられるはずです。ルーキー同士が切磋琢磨しながら、チームを盛り上げていって欲しいですね。

 

 キャンプを見た限り、私のイチオシは昨季ショートのレギュラーを掴んだ小園海斗ですね。キャンプのバッティング練習を見ていたら、コンパクトの巧さに加え、インパクトの強さを感じました。非常に体の使い方が巧い。同じく昨季ブレイクした林晃汰と共にチームを牽引する存在になって欲しい。そこに新人が絡んできくれば、中堅、ベテランたちも刺激を受けるはず。現在のカープは転換期。今後の赤ヘルを担う選手たちの活躍が見たい。オープン戦から結果を残し、好スタートを切ってくれることを期待したいと思います!

 

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