3月8日(土)のJリーグ2008シーズン開幕を前にして29日、都内ホテルで「2008Jリーグキックオフカンファレンス」が行われ、全33クラブから監督と代表選手が集結した。昨年のリーグ戦で、劇的な逆転優勝を果たし、天皇杯も制した鹿島アントラーズのオズワルド・オリヴェイラ監督は「今年はACLもあるが、取れるタイトルは全部取りたい」と力強く宣言した。
(写真:「多くのクラブがタイトルを取れる実力があると思う。その中で我々は打ち勝つ」と語ったオリヴェイラ監督)
 華やかなムードで行われた同会合では、鬼武健二チェアマンが今シーズンの目標を発表。「昨年のJリーグ公式戦とACLのホームゲームの入場者数は8,883,068人。今年はその107%にあたる950万人を目標としたい。目標としたい、ではなく、目標とする」と決意を示した。

 昨年からJリーグでは、「2010年までに総観客動員数1100万人を目指す」イレブンミニオンプロジェクトをスタートさせている。「この数字を達成するには大変な努力が必要」。鬼武チェアマンは2年目を迎える同プロジェクトを成功に導くため、サポーター、スポンサー、地方自治体などにも広く協力を呼びかけた。

 壇上に勢ぞろいした全33クラブの代表選手の中で、珍しい姿を見せたのが、日本代表GK川島永嗣選手(川崎)。いつもと違うフィールドプレーヤーのユニホームで現れたことを訊かれると、「登録はポジションチェンジしていませんでしたかね? 今年は点を取るつもりできました(笑)」と場内を笑わせた。
(写真:左から川島、広島・佐藤、浦和・鈴木啓、甲府・秋本、東京V・服部)

 今年はJ1復帰を果たした東京ヴェルディとの“旧川崎ダービー”で開幕を迎える。「去年は目標としていたタイトルに届かなかった。タイトルを目指して最初からいきたい」とクラブ悲願の初タイトルに照準を定めていた。 

 また、3月1日に行われる「2008ゼロックススーパーカップ」の前日会見も開催された。対戦する2007年リーグ王者の鹿島と、天皇杯準優勝のサンフレッチェ広島の監督、選手が意気込みを語った。このカップ戦では前年のリーグ覇者と天皇杯優勝クラブが激突するが、今回は鹿島が天皇杯も制したため、準優勝の広島が出場する。

 大きな補強はなく、昨年とほぼ同じ陣容で新シーズンに臨む鹿島。オリヴェイラ監督は「キャンプは非常に順調だった。ただ、1つ残念なのは、全日本で代表選手が抜けた中でのキャンプになってしまったこと」としながらも、「個人的に広島との対戦はものすごく楽しみ。いろんなことを工夫してくるチームので、それを読みつつ対策を練らないといけない。楽しみな試合になるのでは」と対決を待ちきれない様子だった。

 対する広島は今季J2に降格し、シーズンへ向けて復活への第一歩を刻む一戦になる。「スタートにあたり、チャンピオンの鹿島と対戦できることは本当に光栄。チームの仕上がり具合をはかる上でも意味のある試合にしたい」。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は42試合の長丁場となるJ2の戦いを見据えながら抱負を語った。

 クラブを代表して会見に臨んだ鹿島のセンターバック、岩政大樹選手は「人生は何かを勝ち取った後が大事」と勝負を前に気を引き締めた。「(広島と)昨年は5回対戦したが、どの試合も厳しかった。広島は実力的にはJ1と同等かそれ以上のチームだと思っている。明日も厳しい試合になるが、ぜひ勝ってスタートしたい」と、元日に広島相手に2−0で勝利した天皇杯決勝同様、勝利を誓っていた。

 昨年の両者の対戦成績は鹿島が4勝1敗とリードしている。広島のエースストライカーとして爆発が期待される佐藤寿人選手(写真)は、「元日の試合では、ゲーム運びから、すべてにおいて鹿島に力の差を見せつけらた。天皇杯での借りを返し、カップを広島に持って帰りたい」と雪辱を期した。

 当日、マークしたい選手としては岩政、佐藤両選手とも互いの名前をあげた。岩政が「広島と対戦する時は(佐藤)寿人をどう抑えるかを考えている。明日も彼のポジションをしっかり監視しておくことが大事」と語れば、佐藤は「マサ(岩政)との対決は楽しみ。対戦していて非常にやりがいがある。スキを狙って、守りをこじあけて点をとりたい」。早くも会見場には熱い火花が散っていた。

 2008年Jリーグの幕開けを飾る両者の激突は1日13時35分、東京・国立競技場でキックオフだ。
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