(写真:牛久との再戦に向けての意気込みを話す斎藤 ⓒRIZIN FF)

 4月半ばのウィークエンド、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布市)でRIZINのイベントが2日連続で開催される。

 16日(土)に『RIZIN TRIGGER 3rd』、17日(日)には『RIZIN.35』――。

 

『RIZIN TRIGGER 3rd』では、元幕内力士・貴源治(リングネームは貴賢神)の総合格闘技デビュー戦、メインイベントでは、ルイス・グスタボ(ブラジル)vs.矢地祐介(フリー)が行われる。そして、『RIZIN.35』にはトリプル・タイトルマッチが組まれている。

 

▶RIZINライト級(71キロ以下)タイトルマッチ

ホベルト・サトシ・ソウザ(王者/ボンサイ柔術)vs.ジョニー・ケース(挑戦者/米国)

▶RIZINフェザー級(66キロ以下)タイトルマッチ

牛久絢太郎(王者/K-Clann)vs.斎藤裕(挑戦者/パラエストラ小岩)

▶RIZIN女子スーパーアトム級(49キロ以下)タイトルマッチ

浜崎朱加(王者/AACC)vs.伊澤星花(挑戦者/フリー)

 

(写真:ⓒRIZIN FF)

 いずれもリマッチであり好カードだが、最注目は牛久vs.斎藤か。

 この一戦、連敗中の斎藤にとって「絶対に負けられない闘い」である。

 半年前の昨年10月、『RIZIN.31』のリングで二人はベルトをかけて闘った。前半は王者・斎藤が試合を優位に進めるも、2ラウンドにRIZIN初参戦の牛久が逆転の一撃を炸裂させる。跳びヒザ蹴りをクリーンヒットさせ、斎藤の額をカットし流血に追い込んだ。直後に傷口をドクターがチェック。

「やれるよ、まだやれる!」

 そうアピールした斎藤だったが、傷が深く試合続行は不可能と判断されTKO負け。初防衛戦でベルトを失った。

 

 その2カ月後、彼は、大晦日『RIZIN.33』で朝倉未来(トライフォース赤坂)と再戦、強烈なパンチを顔面に浴び劣勢を強いられ判定負けを喫した。王座から転落し、その後に連敗、いま斎藤は、崖っ淵に追い込まれている。

 

「0」か「100」かの大勝負

 

(写真:4月6日、「CAVE」で練習を公開した斎藤<左>。原虎徹がスパーリングパートナーを務めた ⓒRIZIN FF)

 4月6日には公開練習が行われ、その際に斎藤は言った。

「大晦日に頬骨を負傷したので、練習に戻るまで1カ月くらいかかりました。3月に入ってから徐々にコンディションが上がってきた感じです。4月17日には、万全な状態に仕上げたい」

 さらに、こうも話す。

「個人的な意見を言わせてもらうと(牛久戦で)『こんな傷で止めるの?』と思いました。ルール上仕方のないことだと受け止めるのに、少し時間がかかりました。自分の中では、まだ試合は終わってない。続きをやる。完全決着をつけたい」

 

 RIZINフェザー級の新王者である牛久は、DEEP同級王座も保持する。そのDEEP王座の防衛戦を昨年12月12日に後楽園ホールで行った。挑戦者・神田コウヤ(パラエストラ柏)に判定勝ちするも内容的には僅差だった。

「前戦のストップ負けはアクシデント、実力的には斎藤が上」

 そんな声も多く聞かれる。

 

 果たしてリマッチの行方は?

「勝ちたい気持ちがすごく強い。試合内容よりも結果にこだわり、最後の最後まで勝利への執念を持って臨む。『勝てば官軍』ですから」とも斎藤は口にした。

 それはそうだ、さすがに3連敗はできない。ここは内容など気にする必要はない。

 負ければRIZINフェザー級トップ戦線から脱落、勝てば一躍トップに躍り出るのだ。「0」か「100」かの大勝負なのである。それは、牛久とて同じ。ここで踏ん張れるか否かで、明日が大きく変わる。

 

 派手さはなくていい、ヒリヒリとした感覚を味わいたい。

 武蔵野の森に、緊迫した空気が漂う。

 タイトルマッチにしてサバイバル対決を、しかと見届けたい。

 

(直近の注目格闘技イベント)

▶4月9日(土)、さいたまスーパーアリーナ/プロボクシングWBAスーパー&IBF世界ミドル級王座統一戦、村田諒太(帝拳)vs.ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)ほか

▶4月10日(日)、大阪・梅田ステラホール/前田吉朗引退興行

▶4月16日(土)、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ/「RIZIN TRIGGER 3rd」ルイス・グスタボvs.矢地祐介ほか

▶4月17日(日)、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ/「RIZIN.35」ライト級、フェザー級、女子スーパーアトム級3大トリプル・タイトルマッチほか

▶4月17日(日)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT vol.3」龍聖vs.メディ・ジライフィほか

▶4月22日(金)、東京・後楽園ホール/プロボクシングWBO世界ミニマム級タイトルマッチ、谷口将隆(ワタナベ)vs.石澤開(M.T)ほか

▶4月24日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE157」QUEENミニフライ&フライ級王座決定トーナメント準決勝ほか

▶4月27日(水)、東京・後楽園ホール/「CHAKURIKI15 帰ってきた藤原祭」森井洋介vs.ロムイーサン・REONほか

▶4月29日(祝)、東京・日本武道館/「全日本柔道選手権大会」

▶4月30日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.136」ライト級タイトルマッチ、瓦田脩二vs.大沢文也ほか

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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