(写真:7・23後楽園大会に参戦する小笠原瑛作<左>と梅野。小笠原はスーパーバンタムから階級をアップして闘いに挑む)

 6月26日(日)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催予定だった『KNOCK OUT』のビッグイベントが、来年3月2日(日)に延期されることになった。これは、5月13日午後、都内で開かれた記者会見で発表されたもの。

 

 その理由についてKNOCK OUT宮田充プロデューサーは、次のように話した。

「主力選手の相次ぐ負傷で、ベストなマッチメイクができなくなりました。やろうと思えば開催は可能ですが、やはりファンの期待に応えられるベストな形で(代々木大会は)行いたい。そう考えて延期の決断をしました」

 

 3月6日、『RIZIN LANDMARK vol.2』に出場しMMA(総合格闘技)ルールで平本蓮(ルーファスポーツ)と闘った鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者)は判定勝利を収めた。だが両拳を骨折。

 

 3月12日、『KNOCK OUT 2022 vol.2』で行われた初代KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王座決定戦でぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)は判定勝ちを収めベルトを獲得。ところが翌4月、練習中に左膝前十字靭帯断裂の大怪我に見舞われた。すでに手術を終え、現在リハビリ中。

 

 4月17日、『KNOCK OUT 2022 vol.3』で龍聖(TRY HARD GYM/KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者)は、メディ・ジライフィ(スペイン)を延長の末に判定で下し10連勝を飾った。しかし、その後に左足の負傷が発覚、6月までには回復が見込めない。

 

 以上の状況から代々木大会は開催を延期。致し方ないだろう。せっかくのビッグイベントだ、フルメンバーでの闘いを堪能したい。

 

「ムエタイを輝かせたい!」

 

 さて、上記の3選手以外にも6月の大会に出場が予定されていたトップクラスのファイターたちがいる。

 

 小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者)、バズーカ巧樹(菅原道場/KNOCK OUT-BLACKライト級王者)、中島弘貴(LARA TOKYO)、渡部太基(TEAM TEPPEN)、そして35歳のベテラン、日菜太(クロスポイント吉祥寺)。

 

 彼らが7月23日(土)、東京・後楽園ホールでの『KNOCK OUT 2022 vol.4』に参戦することも会見で併せて発表された。

 

 また、7月ならコンデション調整可能な龍聖も参戦、安本晴翔(橋本道場/KNOCK OUT-REDフェザー級王者)、花岡竜(橋本道場/KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者)にもオファー中とのこと。

 

(写真:5月13日の記者会見で「ムエタイを輝かせたい!」と話した梅野。右は宮田充プロデューサー)

 これだけでも、かなり豪華なメンバーだが、さらにもうひとり大物が参戦する。

 元ラジャダムナン・スタジアム認定ライト級王者、梅野源治(PHOENIX)だ。

 彼がKNOCK OUTのリングに上がるのは2017年以来、5年ぶり。ここ数戦はムエタイルールではなく、キックボクシングルールでの試合が続いたこともあり勝利から遠ざかっている。

 3月の『RIZIN.34』では皇治(TEAM ONE)に判定負け。試合直後に判定に対し異議を唱え、物議を醸しもした。

 

 会見で梅野は言った。

「これまでキックボクシングルールの試合でも、しっかりと準備をして挑んできました。でも僕としては、ムエタイルールで闘って輝きたい。『ムエタイだったら梅野源治凄いだろ』とみんなに思ってもらえる試合を見せます」

 

 KNOCK OUTが採用しているREDルールは、ヒジ打ち・首相撲ありでムエタイの闘いに近いもの。対戦相手は未定だが、規制の少ないルールの下、ようやく梅野の本領が発揮されそうだ。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶5月21日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.137」フェザー級タイトルマッチ、新美貴士vs.玖村修平ほか

▶5月22日(日)、東京・後楽園ホール/プロ修斗公式戦2022 Vol.3 環太平洋バンタム級タイトルマッチ、小野島恒太vs.石井逸人ほか

▶5月29日(日)、東京・新宿フェイス/DEEP TOKYO IMPACT 2022 3rd & 4th ROUND 富松恵美vs.桐生祐子ほか

▶5月29日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE 158」QUEENアトム級タイトルマッチ、宮﨑小雪vs.小林愛理奈ほか

▶6月5日(日)、大阪・世界館/「ACF 74th」キックボクシングフェザー級王座決定戦 ハンマー鈴木vs.タイガー希析ほか

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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