東京・国立代々木第一体育館を舞台に、女子バスケットボールの「Wリーグプレーオフ2021-2022」ファイナルが16日にスタートする。連覇を目指すトヨタ自動車アンテロープスと、14シーズンぶり2度目の優勝を狙う富士通レッドウェーブが対戦。堅守を誇るチーム同士の対決となった。

 

 昨年夏、東京オリンピックを沸かせた銀メダルメンバーが、代々木第一体育館に集う。トヨタ自動車はSG三好南穂、PF馬瓜エブリン、PF長岡萌映子、富士通はPG町田瑠唯、SF宮澤夕貴、PFオコエ桃仁花。また3X3も含めれば富士通のSG篠崎澪、トヨタ自動車のPG山本麻衣、エブリンの妹・PFステファニーと計9人の五輪戦士が揃うのだ。

 

 タレントが豊富な両チームは堅いディフェンスが持ち味。レギュラーシーズンの数字で見ると、富士通が1試合平均失点58.7点でリーグ最少、トヨタ自動車は同61.1点でリーグ2位だ。セミファイナルでは富士通がENEOSサンフラワーズを58、53と50点台に抑えた。一方のトヨタ自動車もシャンソン化粧品のキープレーヤーであるSF吉田舞衣に仕事をさせず、チーム全体でもフィールドゴール成功率20%台と封じ込めた。

 

 山本は「自分たちのディフェンスで、どれだけ点数を抑えられるかがカギ」とファイナルを展望する。チームとしてディフェンスに対するこだわりは強いという。ステファニーはこう語る。

「『ディフェンスは自分たちのオフェンスの始まり』とHCから言われています。『どんなにシュートが入らなくてもディフェンスだけはしっかりしろ』と。ひとりひとりの意識は高く持てていると思います」

 

 トヨタ自動車はオフェンス面のスタッツも光る。1試合平均87.1点とリーグトップ。攻守にバランスがとれたチームと言えよう。富士通の町田は「個々の能力が高く、フィジカルが強い」と警戒する。ロスターの平均身長はほぼ互角だが、セミファイナルのスターターで比較するとトヨタ自動車が175.8cmに対し、富士通174.2cmと上背で勝る。セミファイナルでは2試合続けて50本以上のリバウンドを記録。2試合とも相手に10本以上の差をつけて圧倒した。ファイナルでも制空権を握り、主導権をも掴みたい。

 

 今シーズンの両チームは、予定されていた試合が中止となったためリーグ戦での対戦はなし。唯一の直接対決は昨年12月の皇后杯準々決勝だ。この時は62-55で富士通が勝利している。このあたりを参考にするならば、富士通の勝ちパターンとしてはセミファイナル同様に相手を50点台に抑えることだろう。リバウンド争いでは厳しい戦いが予想されるだけにシュートの成功率も高めたいところだ。

 

 ファイナルは2戦先勝方式で行われる。第1戦で先手を取るのはどちらか。リーグ女王を巡る争いに注目が集まる。

 

(文/杉浦泰介)