アメリカンリーグのリーグチャンピオンシップは22日、第7戦が行われ、ボストン・レッドソックスが11−2でクリーブランド・インディアンスを破り、3年ぶり12度目のリーグ優勝を果たした。大一番で先発した松坂大輔は5回2失点で勝ち投手となり、2番手・岡島秀樹も2回を無失点に抑え、勝利に貢献した。レッドソックスは25日からナショナルリーグ優勝のコロラド・ロッキーズとワールドシリーズを戦う。
 ペドロイア、貴重な2ラン含む5打点(レッドソックス4勝3敗、フェンウェイ・パーク)
クリーブランド・インディアンス 2 = 000110000
ボストン・レッドソックス     11 = 11100026×
勝利投手 松坂(1勝1敗)
敗戦投手 ウェストブルック(1勝1敗)
セーブ   パペルボン(1S)
本塁打   (レ)ペドロイア1号2ラン、ヨーキリス3号2ラン

 プレーオフに入って2度の登板は5回もたず。「1億300万ドルの男は、ボストンのプレーオフにおいては、ほとんど価値がない」(AP通信)などと現地メディアから酷評を受けた。勝てば天国、負ければ地獄の大一番。松坂は最低限の役割を果たし、チームに逆転優勝をもたらせた。

 初回から松坂のボールには力があった。2死を簡単にとり、1発のある3番トラビス・ハフナーはフルカウントからストレートで空振りの三振。2回も直球と変化球のコンビネーションが冴え、三者凡退で上々の立ち上がりをみせる。

 すると、レッドソックス打線が早速、右腕を援護。初回、インディアンス先発のジェイク・ウェストブルックの立ち上がりを突き、連打で1、2塁のチャンスをつくった。ここで4番マニー・ラミレスの打球はショートの正面を突いたが、イレギュラーして後方に抜ける。ラッキーヒットでレッドソックスは貴重な先取点をあげる。続く2回も1点を加え、3回はマイク・ローウェルの犠飛で1点をあげて3−0。レッドソックスは着実にリードを広げた。

 3回までヒット1本に封じていた松坂だが、中盤に入ってボールが甘くなる。4回、第1打席で三振に打ち取ったハフナーにレフトの高いフェンス(グリーンモンスター)直撃の2塁打を浴びると、2死2塁からライアン・ガルゴにも中に入ったスライダーをグリーンモンスターに当てられた。長打攻勢で松坂は1点を返される。

 5回も先頭のケニー・ロフトンにグリーンモンスターへの大飛球を打たれる。これはレフトを守るラミレスの好返球で、二塁タッチアウト。バックに助けられた背番号18だが、徐々にその投球には黄色信号が点滅し始めた。続くフランクリン・グティエレス、ケーシー・ブレークの下位打線を抑えきれず、連打で1死1、3塁とピンチを招く。1番グレイディ・サイズモアにはセンターへきっちり犠飛を打たれ、3−2。ついにゲームは1点差となった。

 前回、前々回、いずれも4回2死の場面で松坂はマウンドを降りている。打順が上位に返り、ランナーをためれば悪夢が蘇るところだったが、松坂は2番・カブレラをチャンジアップで空振り三振にとり、なんとか勝ち投手の権利を得た。松坂は“3度目の正直”で5回を投げきり、投球内容は5回88球、3奪三振、6安打2失点。四死球0とムダな走者を出さなかったことが最小失点につながった。

 6回から後を継いだのはプレーオフ無失点を続ける岡島秀樹。その回を三者凡退で切り抜けると、7回もマウンドに歩を進める。1死後、ロフトンの打球はショートへのフライ。難なく2死かと思った瞬間、ショートのフリオ・ルーゴがまさかの落球。思ってもみない走者を背負った岡島はグティエレスにヒットを許し、1死1、3塁の大ピンチを迎える。

 しかし1年間、レッドソックスのブルペンを支えてきた左腕は冷静だった。迎えたブレークに対する初球、得意のチェンジアップを打たせて、サードゴロ。注文どおりのダブルプレーで、窮地を脱した。その瞬間、いつもはおとなしいリリーバーも大きなガッツポーズをみせた。

 この併殺打が流れを再びレッドソックスに向かわせる。直後の攻撃で、ダスティン・ペドロイアが試合を決定づけるレフトへの特大2ラン。8回にはケビン・ヨーキリスの2ランなどで一挙6点をあげ、あとは歓喜の瞬間を待つだけになった。

 投げては8回途中からは岡島に代わって、抑えのジョナサン・パペルボンが登場。磐石の投手リレーで最後を締めくくり、1勝3敗から見事な逆転優勝を飾った。松坂は勝利投手になり、日本人投手プレーオフ初勝利。ルーキー投手が第7戦に登板して、勝ち投手になるのも、リーグ史上初というおまけ付きだった。

 ワールドシリーズに松坂、岡島が登板すれば、日本人投手として初の出来事。対戦するロッキーズには松井稼頭央が在籍しており、松坂VS松井稼の“元西武対決”も注目だ。終盤の猛追でワイルドカードを勝ち取り、一気にリーグも制した勢いのロッキーズか、今季、レギュラーシーズンで30球団中最高勝率を残し、地力に勝るレッドソックスか。みどころ豊富な最終決戦は25日、戦いの火ぶたが切って落とされる。

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