カタールワールドカップまであと7カ月。

 

 11月開幕の今大会は欧州主要リーグの中断後、1週間強で開幕を迎えると考えれば、準備を十分に行うことができないチームがほとんどだと言っていい。ワールドカップに入るまでにどれだけ準備ができているかが、成否のカギを握る。

その一つが強化試合である。

 

 優勝候補のスペイン代表、ドイツ代表と同組に入った日本代表にとって、同じクラスと戦っておくことが肝要になる。

 

 まずスケジュールを確認しておこう。6月2、6日のキリンチャレンジカップ、同10日、14日のキリンカップと4試合が予定されていて、7月にはおそらく国内組で参加するE-1サッカー選手権(開催地が中国から日本に変更)、9月の国際Aマッチデー、そして本大会前の強化試合となる。これらを有効活用して本番に臨まなければならない。

 

 強豪とのマッチメークが求められるなか、早速グッドニュースが飛び込んできた。6月にFIFAランク1位ブラジル代表と対戦できるよう交渉していることが明らかになったのだ。

 

 ブラジル代表とアルゼンチン代表は南米予選の未消化分を6月11日にオーストラリアのメルボルンで戦うことになっており、ブラジルはその後に日本に立ち寄る計画だと考える。欧州勢はネーションズリーグで強豪国を日本に招へいできないため、南米予選を1位で突破したブラジルとこのタイミングで対戦できればこれ以上ないマッチメークだ。正式発表を待ちたい。

 

 チッチ監督率いるブラジル代表は優勝候補筆頭。南米予選を14勝3分けという圧倒的な成績で突破し、総得点はライバルのアルゼンチン(27得点)を大きく引き離す「40」。失点もわずかに「5」しかない。言うまでもなく前者は今大会最多、後者は今大会最少だ。エースのネイマールは健在でカゼミーロ、ロベルト・フィルミーノ、ヴィニシウス・ジュニオールら誰もが知っているスター集団にはアントニー、ガブリエウ・マルティネッリらこれからが楽しみなアタッカーも多く、とにかく層が厚い。アルゼンチン戦から長距離移動を伴っての日本戦になるものの、いかなるメンバーであっても楽しみだ。ブラジル代表としてもワールドカップまでの強化試合は限られるため、出場する選手は指揮官にしっかりとアピールしておきたいところだろう。

 

 ブラジルとは過去12試合戦って2分け10敗。引き分けすら難しい相手だ。

 

 直近はヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代の2017年11月。フランスで行なわれたこのフレンドリーマッチは、序盤にPKを与えて前半だけで3失点を喫するなど完敗に終わっている。

 

 筆者もコンテンパンにやられたところを現場で何度も目にしてきた。

 

 特に印象に残っているのが、アルベルト・ザッケローニ監督時代の2012年10月16日、ポーランドのヴロツワフで行なわれたフレンドリーマッチである。4日前にはアウェーでフランス代表を撃破していただけに期待感も漂っていた。

 

 だが現実はそう甘くはなかった。

 

 開始早々に本田圭佑が強烈なミドルシュートを放ったが、チャンスをつくれどそれ以降はなかなかシュートまで持ち込めない。逆にパウリーニョに豪快なトゥーキックで先制点を許し、終わってみれば4失点。パスを読まれてカウンターを浴びてしまい、最後の4点目もボールを奪われてカカに決められている。

 

 指揮官は試合後の会見でこう述べている。

「ブラジルは現時点で次元が違う。我々は天狗になってはいけないし、もっと成長しなくてはならない。そのためには現実をしっかりと見つめる必要がある。今、ブラジルと比較するのはナンセンスだ」

 

 ブラジルの強さに触れたことで、カウンターやセットプレーに対する守備、ボールロスト、攻撃のバリエーションなどクリアしなければならない多くの課題を突きつけられた。この8カ月後にブラジルでのコンフェデレーションズカップで再戦したが、ここでも0-3というスコアで敗れている。再びカウンターに手を焼き、今野泰幸が「前の0-4より進化したところを見せたかったけど、全然進化しきれていない。そういうことを実感させられた厳しいゲームだった」と力なく語っていたことを思い出す。しかしこういった経験がザックジャパンの肥やしになった。

 

 きっと今回も多くの課題を突きつけられるに違いない。

 ザッケローニが言ったように「現実をしっかり見つめる」ことが本大会につながる。たとえ惨劇になったとしても、あくまで大切なことはチームとして突きつけられた課題をどう克服していくか、だ。本番はあくまで本大会。課題をあぶり出すとともに突破口を見つけていくためにも、強豪国との対戦が多ければ多いほどいい。

 

 ブラジルからいかなるレッスンを受けるのか——。


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