今月はカタールW杯の組み合わせ抽選会がありました。日本はまさかまさかの凄いグループに入りました。そしてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)も進行しております。今回はこれらについて語っていきましょう。

 

何度も言うが約束事を

 

 

 

 

 さて、カタールのドーハで4月1日(現地時間)に抽選会が行なわれました。日本はスペイン、ドイツ、そして残る1枠はコスタリカもしくはニュージーランドと同じE組。厳しいグループに入りました。

 

 近年のヨーロッパサッカーの傾向として縦に速い。そのサッカーに対してDFラインはしっかりとポジションを取ること。そしてパス回しでプレッシャーをかけさせつつ、体力を削りたいですよね。このためには攻守において約束事をつくることが大事です。“このポジションにいつ、どのタイミングで入るのか。体の角度はどうなのか”と言った約束事です。

 

 6月に親善試合を2つ(相手はパラグアイとブラジル)、そしてキリンカップが組まれます。1試合1試合、テーマを持って取り組んでほしい。

 

 テーマを組んでそれができたか、できなかったか。できなかった場合はなぜ実行できなかったのか。この検証が大切です。本番まで1試合も無駄にできません。強烈なテーマを決めずにふんわりと試合をこなしてしまったら最大の機会損失です。僕は守備面、特にボランチとセンターバックの追い込み方を注視したいです。

 

 森保一監督としても難しい時期に入りますね。選手たちの競争意識を刺激しつつも、ある程度メンバーを固定して世界仕様の戦術を浸透させないといけません。この両輪をうまくハンドリングしてもらいたいものです。

 

 中国勢のサッカーに対する意識

 

 

 

 

 そしてACLも進行しております。28日現在、浦和レッズとヴィッセル神戸が決勝トーナメント進出を決めました。それは喜ばしいことですが、中国勢に元気がないようです。出場した2チームは2試合ずつ消化し、合わせて得点ゼロ、25失点。しかもベストメンバーを帯同させていないという報道もあります。

 

 

 中国のサッカーに対する意識の問題もあると思います。考え方がどうだったのかな? っていう確認は必要でしょう。リーグ創成期の外国人が与える影響もあったのではないでしょうか。もっとピッチ外でも模範となれる選手を連れてきていたら状況は変わっていたでしょう。とにかく即戦力、目の前の勝利、即戦力ばかり獲得に走ったツケが回ってきています。クラブのフロント組が意識改革をしないと解決しそうにないですね。

 

 伝える、伝承する、根付かせるという作業は根気が必要です。Jリーグは創世記にジーコやドゥンガが来てくれて本当に良かったですね。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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