(写真:後半に相手を引き離すトライを挙げて喜びに沸く埼玉WK)

 22日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2022 プレーオフトーナメント」(PO)準決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、埼玉パナソニックワイルドナイツがクボタスピアーズ船橋・東京ベイを24-10で下した。埼玉WKは前日に“府中ダービー”を制した東京サントリーサンゴリアスとの決勝(29日、東京・国立競技場)にコマを進めた。敗れたS船橋・東京ベイは、3位決定戦(28日、秩父宮ラグビー場)で東芝ブレイブルーパス東京と戦う。

 

 昨季は無敗(リーグ戦6勝1分け、PO4勝)でトップリーグ(TL)を制した埼玉WK。リーグワンでも実質無敗(不戦敗2)でファイナルへ進んだ。チームの強みである堅守が、この日も光った。

 

(写真:持ち味の堅守を随所に発揮。前半はノートライに封じた)

 リーグ戦は開幕2戦不戦敗スタートから巻き返した。14連勝で2位に浮上。リーグ戦最少失点は東京SG(286失点)に譲ったが、不戦敗分(42失点)を除く実質の1試合平均失点はリーグ最少の18.3点だ。

 

 対戦相手のリーグ戦3位S船橋・東京ベイには5月1日の最終節、ホームで35-14と快勝している。一時は同点に追いつかれる場面もあったものの、FB野口竜司、No.8ジャック・コーネルセン、WTB竹山晃暉がトライを挙げ、終盤に突き放した。

 

(写真:ラインアウトは攻守で対策を練り、相手にリズムを与えなかった)

 2週間前にラインアウトモールでトライを奪われた反省を生かし、きっちり対策を練っていたようだ。「しっかりと準備してきた」とキャプテンのHO坂手淳史。相手ボールのラインアウトをスティールする場面も。7分の先制トライも、相手ボールのラインアウトにプレッシャーをかけてボールを奪った。

 

 重戦車FWが自慢のS船橋・東京ベイに押し込まれる時間が続いた。14分、スクラムでペナルティーを犯し、相手にPGを与えてしまう。これをSOバーナード・フォーリーに決められた。スコアは7-3。1トライでひっくり返される点差だ。

 

(写真:POMに輝いた竹山。2試合連続のインターセプトトライ)

 インゴール目前まで迫られても、ラインを割らせない。粘りのディフェンスで凌いだ。38分、フォーリーのパスを竹山がかっさらい、90m以上を独走するトライを挙げた。「しっかりと駆け引きしながら、フォーリーさんが狙っていたのは分かっていた」。フォーリーの目線から次のプレーを読み切った。

 

 14-3とリードしてハーフタイムを迎えた。後半9分にPRを2枚替え。後半の比較的早い時間帯での第1列を替えるのは、リーグ戦と変わらぬ起用法だ。9分、フランカーのベン・ガンターが相手の反則を誘うジャッカル。SO山沢拓也がPGを決め、17-3と突き放した。

 

(写真:創造性溢れる足技でゲームをコントロールした山沢拓也<10>)

 14分には、インパクトプレーヤーのHO堀江翔太が満を持しての登場。今季最多の1万5482人が詰め掛けた秩父宮ラグビー場は大きく沸いた。16分、フレッシュな第1列が相手のボールスクラムでコラプシングを誘い、ペナルティーを獲得した。25分にはラインアウトモールから堀江がインゴール左に飛び込んだ。

 

 終了間際に1トライ1ゴールを許したが、24-10でノーサイド。東京SGの待つファイナルへとコマを進めた。坂手は「今日はいいディフェンスができ、そこから得点に繋げられた。ワイルドナイツのラグビーは成長している。次の1週間で、もうひとつ成長して決勝の舞台に立てるようにしたい」と語った。

 

(文・写真/杉浦泰介)