第117回 男を上げた長友佑都

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「期待値が低いんだから、選手たちはまわりの評価なんて気にせず、思い切りやればいい。僕には岡田ジャパンがこちらの期待以上の活躍をする予感があるんだけどね」
 W杯が始まる前、日本サッカー協会名誉会長の川淵三郎氏はそう語っていた。

 本番前のテストマッチで4連敗したことで、逆に選手たちは吹っ切れたのかもしれない。
 初戦で格上のカメルーンを1対0で破り、勝ち点3をモノにした。
 32カ国・地域の代表でW杯を戦うようになった98年フランス大会以降、初戦で勝利したチームのグループリーグ突破確率は86.1%。まだ安心できないが、日本はこれ以上ないほど幸先のいいスタートを切った。

 勝因は色気を捨て守備に徹したことだ。自由奔放に攻めてくるカメルーンに対して深めの陣を敷き、二の丸、三の丸はくれてやっても本丸には立ち入らせない。
 恐るべきスピードとテクニックに加え、野戦にたけた黒ヒョウのようなアタッカーたちをブロックという名の人垣で撃退し続けた。

 立役者のひとりが左サイドバックの長友佑都だ。インテルで活躍する世界的ストライカー、サミュエル・エトオに仕事らしい仕事をさせなかった。
「エトオへのパスを出させないようなポジショニングを取れて、なおかつ中にカバーに行ける。エトオに(パスが)出ても、そこから対応できる。すごく集中していた」

 長友がサイドバッカーとしての自信を掴んだのは2008年5月のコートジボワール戦。アーセナルのエマニュエル・エブエを封じたことで「オレは外国人に強い」と確信したという。
「相手が大きければ大きいほど、強ければ強いほど“絶対に負けない”という気持ちになる」
 体脂肪率3%。90分間走り切れる運動量は岡田ジャパンの中でもピカイチ。
 脇役から主役へ――。外国人キラーのプレーにこの先も注目である。

<この原稿は2010年7月5日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
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