第110回 群馬・五十嵐章人監督「新生・群馬は“走”で魅せる!」

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 初めまして。来シーズンより群馬ダイヤモンドペガサスの指揮を執ることになりました、五十嵐章人です。今年10月に5年間、2軍コーチを務めていた福岡ソフトバンクを退団し、次の就職先を探していたところに群馬の糸井丈之会長から監督就任の依頼を受けました。前橋商業高校を卒業して四半世紀が経ち、久しぶりの群馬での生活です。初めての監督業ということで不安もありますが、25年ぶりに故郷で野球をやれるということで、今は楽しみの方が大きいですね。
 私は2007年から今シーズンまでの5年間、ソフトバンクで2軍外野守備走塁コーチをしていました。そこで四国アイランドリーグプラスと交流試合をしたことが何度かあります。NPBの2軍選手よりもはるかに低い給料で、しかも練習環境が厳しい中、一生懸命に上を目指している選手たちの姿を見て、NPBの若手選手も見習わなければいけないと感じていました。野球のレベルも年々上がっており、各チームには目を引くような選手も何人か見受けられましたので、同じ独立リーグのBCリーグで監督をさせてもらえることに大変喜びを感じています。

 また、八木沢壮六コーチは、私がロッテ入団2年目の時の監督だった方で、いわゆる恩師でもあります。その方とこうして再び顔を合わせることになるとは、当時は当然、予想すらしていませんでした。人生とは本当に不思議なものです。最初のうちは八木沢コーチに「監督」と呼ばれても、すぐには反応できないかもしれませんね……(笑)。私は打者からの目線での意見は言えますが、投手目線では素人に近い。ですから、投手起用について基本的には八木沢コーチにお任せしたいと思っています。

 一方、青木清隆コーチですが、実は彼のことは大学の頃から知っていました。彼の母校である大東文化大学の野球部監督が私の同級生で、観に行ったことがあったのです。小さいながら足が速く、俊敏な動きをする選手だなという印象を受けたことを覚えています。現役を引退してまだ1年と指導者経験も浅く、NPB出身ではありませんが、08年からチームに所属しているわけですから、BCリーグのことを一番よく知っていることでしょう。若さを全面に出し、自分がやりたいと思ったことはどんどんやってほしいなと思います。

 さて、9日に行なわれたドラフト会議ではリーグ史上最多となる15名の選手を指名しました。補強ポイントがどこというよりも、16名もの選手が退団したために、とにかくどのポジションも補強が必要だというのが現状です。15名のうち、7名が外野手ではありますが、この中から適性能力を見て、内野手に転向させることを考えています。とにかく全員が横一線でのスタート。各選手の能力を把握したうえで、起用法を考えていきたいと思っています。

 私が目指す野球は、スピードあふれた野球です。俊足の選手も多いですので、どんどん盗塁など、足で攻めていこうと考えています。選手たちにはとにかく失敗を恐れずに、果敢にチャレンジしていってほしいですね。失敗したのなら、なぜアウトになったのかを反省し、それを次のプレーにつなげていけばいいわけです。逆に挑戦しないことには、次へのステップはありませんからね。

 ソフトバンク時代から指導者として心がけてきたのは、指導する以前に、まずは選手をよく見て、どんな選手なのか、プレーの特徴だけでなく、精神面においても把握すること。選手をよく理解してはじめて、指導ができるのだと思っています。というのも、同じことを指導しても、選手本人が理解し、納得しているか否かでは、上達のスピードは全く異なってくるからです。やらされている練習では、いくらやって身に付きません。そのことを選手には早く気付いてほしい。そのためには、指導者側が選手のことをよく理解しなければいけないのです。

 今や1軍のレギュラーに定着した長谷川勇也も考え方が変わった一人です。入団当初からバッティングには非凡なセンスがあり、黙々と練習するタイプでした。しかし、何か淡々としていて、必死さというものが全く伝わってこなかったのです。特に不足していたのが、ボールに対する執着心。彼の守備には「なんとか捕ってやろう」という気迫が全く感じられず、捕れなくても平気な顔をしていたのです。そこで一球の大切さ、球際の重要性を何度も説きました。特に効果的だったのが、本人に自分のプレーしている姿をビデオで見せたことでした。まさに“百聞は一見に如かず”。口で言ってもなかなか理解してもらえなかったのが、ビデオを見せると「あ、本当だ」と私が言っていたことをようやく理解してくれたのです。球際に強さを見せるようになったことが、2年目からの活躍に結びついたことは言うまでもありません。

 このように考え方ひとつ変えただけで、プレー自体が変わり、開花する選手は少なくありません。群馬の選手にもこうした考えが浸透していくよう、指導していきたいですね。そのためにも、私自身が選手一人一人をきちんと見て、理解していかなければと思っています。そして、スピーディで積極的な野球をファンの皆さんにはお見せしたいですね。ぜひ、来シーズンは群馬の“足”に注目してください!

五十嵐章人(いがらし・あきひと)プロフィール>
1968年4月12日、群馬県生まれ。前橋商業高校では3年夏にエースとして甲子園に出場。日本石油を経て、90年ドラフト3位でロッテに入団した。その後、オリックス、大阪近鉄でプレー。プロ野球史上唯一、全ポジションで出場し、全打順でホームランを放っている。2003年現役引退後は解説者・評論家として活躍した。07年より福岡ソフトバンクで2軍外野守備走塁コーチを務め、今季限りで退団。来季より群馬ダイヤモンドペガサスの監督として指揮を執る。
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