止まらない夢。王者の終焉ではなく始まりの歌 ~D.LEAGUE~

facebook icon twitter icon
 2025年6月19日、東京ガーデンシアターで行われた日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE2024-25」のCHAMPIONSHIP(CS)。CS3連覇を目指したKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)はファイナルでCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)にSWEEP(0対7)で敗れ、シーズンの幕を閉じた。CS後、ディレクターKEITA TANAKAがこのシーズン限りでの退任を発表した。そして8月2日から2日間かけて神奈川・とどろきアリーナで開催したDREAMS主催のワンマンライブ『THE GREATEST SHOW FINAL』。KEITA TANAKAは「自分の始めたことを終え、リスタートしていくうえでも大切な作業。続けて欲しいからこそ一回終えるというイメージ」と“FINAL”と銘打たれた意味を説明する。
 
 2days開催という構想を私が聞いたのは、1年前に同会場で行われたワンマンライブ『THE GREATEST SHOW』終了後、KEITA TANAKAからだ。メンバーはどうだったのか。
「ビックリしました。どちらかと言えば“できるのかな”という不安の方が大きかった」とASUHA。リーダーのKISAは「KEITAさんが見越す先に何があるのか明確になった。2daysやって良かったですし、“KEITAさん流石だな”と思います」と語った。
 
 初日は「THE GREATEST SHOW-前夜祭-」と称し、公開リハーサル、FMかわさき『KAWASAKI KARA DREAMS』の公開収録などが行われた。2日目は「THE GREATEST SHOW FINAL -Treasure Hunt-」と題し、2020年のチーム発足からの歴史を凝縮したパフォーマンスを披露した。「昨年はKADOKAWA DREAMSプロデュースのダンスイベントに近かった。今年はKADOKAWA DREAMSメインのショーがぎっしり詰まっている」と颯希。チームの歴史に一区切りを打つイベントに相応しい内容となった。
 
 2日目、開演直前に一部のメンバーから話を聞いた。
「新シーズンからディレクターが代わり、体制も変わる。今までの自分たちと、これからの自分たちをここで出せたらいいと思っています。今日はお客さんを楽しませたいのと、自分たちが一番で楽しんで盛り上げたい」(KISA)

「5年目という節目。この2日間、クオリティーを落とすことなく、頑張っていきたいと思います」(颯希)

「私は加入4年目。今回、KEITAさんが(ディレクターとして)最後のイベント。KEITAさんには感謝の気持ちでいっぱいです。(加入当初)高校生だった自分から成長した姿を、親に見せるような気持ちでKEITAさんに向けて本気で挑んできました」(ASUHA)

「ひとつのダンスチームが大きな会場を埋めるのはすごいこと。今回加入して1年目。普段、KADOKAWA DREAMSがD.LEAGUEで見せている空気感とは違い、個人個人が光るライブ感を見せていきたい」(KELO)

 

 2日目は、DREAMSのD.LEAGUEを表現したショーを皮切りに進んでいった。1年目から代表的なショーケースを生バンドを従えて披露。後ろのスクリーンにDREAMSのロゴが表示されていたが、CS優勝したシーズンからロゴに王冠が増えていく遊び心も。23-24シーズンのCSファイナルで披露した「ONE」は今季「24-25シーズンのROUND.4、イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』や日本のテレビ番組でも披露した「和魂躍彩」をはじめ、そして今季からAVANCEに移ったMINAMIも登場した。DREAMSのRYO、ASUHA、Aroha ImaiとMedicalConcierge I'moon(メディカル・コンシェルジュ アイムーン)のD.LEAGUEのシーズンでは見られないコラボ企画も。ヒューマンビートボックスクルーSARUKANIが奏でるサウンドに乗り、dip BATTLES(ディップ バトルズ)のメンバー、LIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)のディレクター永井直也も交えたバトルのような“かまし合い”を見せた。

 

 メンバーによるソロパートは、ダンスだけにとどまらず、歌やドラム演奏と個性の光る内容に。今季はB TEAMに移ったRion、初年度から2シーズン(20-21、21-22)のレギュラーダンサーAkari、AVANCEのJESSICAがD.LEAGUE作品に加わるスペシャルなショーも披露した。その後はスペシャルゲストとして歌手のAIも登場。DREAMSはAIの今年5月のツアーに帯同した縁を持つ。AIが『ハピネス』を歌い、会場のボルテージはさらに上がった。そのほか25-26シーズン最終審査進出メンバーによるパフォーマンス、ユースチームのKFDおよび小中学生チームのJR.YOUTHが24-25シーズンのテーマソング『Sky’s The Limit』を披露し、未来に向けたショーも。そしてDREAMSによる各シーズンのテーマソングを踊り、『Sky’s The Limit』で締めた。

 

 とどろきアリーナに響き渡った「アンコール」の合唱。退任が決まっているディレクターKEITA TANAKAがステージに登場した。その口から新ディレクターの名が告げられた。
「今シーズンを続けていく中、あるメンバーの行動に魂をヒシヒシと感じた。彼にだったら託してもいいかもしれない、と。それはなぜかというと、負け様が良かったんです。負けてから逆転する。エースで負けてエースで取り返す。その姿が、男から見てもカッコイイ。自分の背番号は0なんですが、このステージを降りて彼に託したいと思っています」

 KEITA TANAKAの言う「彼」とは、HINATA.Mだった。
「小さな頃から知っていますが、こんなに大きくなった背中を見れるなんて思っていなかったです。成功より失敗の方が多いかもしれない。失敗のたびに皆さん厳しいご意見をバンバン飛ばしてください。彼はへこたれないと思います。僕の時代を超えるKADOKAWA DREAMSを必ずつくりあげる。どうか来シーズンのKADOKAWA DREAMSを愛してください!」

 

 

 ワンマンライブを終え、新ディレクターの就任が決まったHINATA.Mは「運営、制作、演出に携わり苦労した分、終わった時の達成感がすごくありました」と振り返った。
「来年はZEPP 2DAYSや東名阪、ゆくゆくはKD全国ツアーを2、3年で達成できるようにします」
 彼が述べた"したい”ではなく、”します”という言葉に重みを感じる。新ディレクターとしての覚悟と言ってもいいかもしれない。

 

 HINATA.Mによれば、KEITA TANAKAからディレクター就任の話がきたのは24-25SEASONのROUND11あたりだったという。
「即決はできませんでしたが、自分が次のKDを背負うんだという自覚をワンマンライブまでに持つことができました」
 彼にとって、KEITA TANAKAは「お父さんのような存在。生き方や人生について教えてくれました」ほどの存在だ。並大抵の覚悟では、ディレクターの座を引き継げなかっただろう。

 
 10月25日に開幕するD.LEAGUEの新シーズンは2ブロック制となった。DREAMSは昨季3位のCHANGE RAPTURES(チェンジ ラプチャーズ)、同4位のValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)らに加え、新規参入のM&A SOUKEN QUANTS(エムアンドエーソウケン クオンツ) とのBLOCK VIBEに入った。
ルールやリーグの変更に適応しながら自分たちの戦い方は今まで通り貫く。新シーズンのD.LEAGUE優勝は大前提で、KADOKAWA DREAMSという大きな組織で世界に通用するアーティスト集団になります」(HINATA.M)
「作品に関してはいいものを届けたいというシンプルな気持ちは変わらない。ビビッてもいない。平常という。チームとしては何にも動揺せず圧倒的でいたいです」(KELO)
 
 
 生まれ変わるリーグとチーム。それでも彼らの幹は動かない。KEITA TANAKAはD.LEAGUEから離れるものの、DREAMSから離れるわけではない。
「もう少しKADOKAWA DREAMSの土台の部分というか下支えをするイメージです。D.LEAGUE以外にもチームを広げていこうと思っています。KADOKAWA DREAMSの一部がD.LEAGUEを戦っているかたちにしたい。他は日本全国を回ったり、世界で活躍する。それをKADOKAWA DREAMSとしても体現していきたい。ダンスを主軸としてアーティスト集団が日本のエンターテインメントをつくっていくかたちにしたいと思っています」
 
 彼らが紡ぐ言葉に、こうも思う。6月19日の有明と8月3日の川崎で響かせたのは物語の終焉ではなく、始まりの詩だったのだと。新時代の序曲は既に奏でられている。
 
(文・写真/杉浦泰介)
 
>>そのほかの写真はこちら



facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP