女子20km競歩・藤井菜々子、日本新で初の銅 ~世界陸上東京大会~

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 20日、東京2025世界陸上8日目、男女20km競歩が東京・国立競技場を発着点に行われた。女子は藤井菜々子(エディオン)が1時間26分18秒の日本新記録で3位に入り、女子競歩初のメダル獲得。優勝は1時間25分54秒で歩いたマリア・ぺレス(スペイン)。35km競歩に続き、2冠達成で2大会連続2冠の偉業を成し遂げた。2位は1時間26分6秒でアレグナ・ゴンサレス(メキシコ)。日本勢は岡田久美子(富士通)が18位、柳井綾音(立命館大学)が37位だった。

 

(写真:日本女子競歩の銅メダルを獲得した藤井。4位とは同タイムだった ©Mattia Ozbot for World Athletics)

 男子は今大会35km競歩銀メダリストのカイオ・ボンフィム(ブラジル)が1時間18分35秒で制した。吉川絢斗(サンベルクス)が1時間19分46秒で7位入賞。丸尾知司(愛知製鋼)が1時間20分9秒で9位、山西利和(愛知製鋼)が1時間22分39秒で28位だった。そのほか男子円盤投げ予選は湯上剛輝(トヨタ自動車)が56m40で37位に終わり、決勝に進めなかった。

 

「メダルを目指し、本気で取り組んできた。結果に繋がってうれしい」

 日本競歩界に新たな歴史を刻んだ藤井はそう胸を張った。

 

 国立競技場を発着点に、神宮外苑の1周1kmの周回コースを18周して争われる競歩。スタート時の気象コンディションは、気温23度、湿度66%だった。1週間前に行われ、7人が途中リタイヤした女子35kmは気温26度に湿度77%だから、比較すれば選手への負担はいくばくか軽減されるだろう。

 

「練習をすごく順調に積めていたので自己ベストが出ると思っていた。必ず先頭集団でレースを進めていくと決めていました」

 序盤から先頭集団でレースを展開した。一時離れる場面はあったものの集団が絞られてきても「余裕があった」と上位に残った。16kmでペレス、17kmでゴンサレスに離されたが、メダル圏内の3位を死守。国立競技場に戻ってきた時点でキンベルリ・ガルシアレオン(プエルトリコ)を振り切った。しかし両手を挙げてフィニッシュした際には、ほぼ真横にパウラミレナ・トレス(エクアドル)が迫っていた。

 

「競技場に入る前、ガルシア選手が来ているのは足音でわかっていた。そこでちょっとギアを上げました。競技場に入ってからは“いける”と思っていた。それで(ゴールした瞬間)、パッと見たらトレス選手が来ていたので、危なかった」

 ラップを見ずにゴールしたというタイムは1時間26分18秒で、自身の日本記録を15秒塗り替えた。

 

 世界陸上は4度目の19年ドーハ大会(7位)と22年オレゴン大会(6位)で入賞。しかしパリオリンピックでは3回目の歩型違反でペナルティー(ペナルティーゾーンで2分間待機)を科され、1時間34分26秒で32位に終わった。この日は2枚の警告を受けた。

「パリオリンピックが過ったんですが、谷井(孝之)コーチ(競歩ディレクター)や森岡紘一朗コーチから『足を低く持っていこう』とアドバイスをいただいた。キツイ中で“足を低く”とずっと唱えていた。それでギリ持ったかな」

 

 谷井ディレクターは「パリオリンピックからこの1年フォームと競技と向き合ってきた。その成果がメダルというかたちになった。すごく感動した」と振り返った。このレースは女子の第一人者・岡田が最後の世界大会として臨んでいた。「岡田の存在抜きに今の女子競歩界は語れない」と谷井ディレクター。藤井も岡田のゴールを出迎え、「岡田さんのおかげです」と感謝を述べたという。

 

「少しは恩返しできたかな」と藤井。世界大会の成績は、お家芸と呼んでもいい男子に比べれば目立たなかった。

「男子がメダルを獲っていて、女子はまだまだというふうに言われてきた。“私が必ずメダルを獲る”と練習してきた。次の大きな一歩を踏み出せた」

 26歳のウォーカーが日本女子の競歩界を牽引する。

 

(文/杉浦泰介)

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