優しさこそが、強さの根源であり続けるべき ~パラスポーツ パーク~

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「パラスポーツ パーク~ちがいに気づく・おなじを見つける・未来と出会う~」が1月17日から18日の2日間にかけて、江東区内の東京国際交流館プラザ平成で行なわれた。主催したP.UNITEDはパラスポーツ体験会やトークイベントを通じ、競技普及を推進し、来場者に障がいへの理解を求めた。

 

 P.UNITEDは、パラリンピック競技団体間の連携強化を目的に2023年に発足した8競技団体(加盟団体:日本車いすカーリング協会/日本パラカヌー連盟/日本障がい者乗馬協会/日本パラ射撃連盟/日本知的障害者水泳連盟/日本知的障がい者卓球連盟/日本パラ・パワーリフティング連盟/日本パラフェンシング協会)からなる組織だ。

 

 17日には、「知的障がいから考える、ちょっと未来の話」というトークイベントが催された。現役パラアスリートを代表し、リオデジャネイロ、東京、パリ大会と3大会連続でパラリンピックに出場した卓球(クラス11:知的障がい)選手の竹守彪、その他、日本知的障がい者卓球連盟の石川一則理事長、同・野村春衣事務局長、日本知的障害者水泳連盟の堀雄二事務局長、同・新井静常務理事の5名が登壇した。

 

 トークイベントは、知的障がい者特有のバリアについてがメインだった。両団体ともこう、口をそろえた。

「見た目では、障がいがあるとわからないこと」

 

 一般的に、知的障がい者の特徴として「学習、技能習得が難しい」「コミュニケーションを取るのが難しい」などと言われている。

 

 知的障がい者アスリートの場合、これらが現場で「壁になる」という。知的障がい卓球連盟の野村事務局長はこう説明した。

「1つの技術を覚えるのに、健常者は3日で覚えられるところを、彼らは3年近く一生懸命、毎日毎日努力して覚える」

 

 知的障害者水泳連盟の堀事務局長が続けた。

「インタビューの際、質問が難しい、どう答えていいかわからない、ということがある。それで選手が抵抗感を覚えてしまうケースがある」

 

 現役パラアスリートの竹守はこう語った。

「技術習得が遅いのは、確かにそうです。友達ともコミュニケーションが取れないことがあります。僕自身、いじめを経験したこともありました。知的障がいになってしまったいまの子どもたちのためにも、そういう部分を(周囲の方々に)理解していただけるとありがたいです」

 

 自分に置きかえて考えてみる。日々努力することは尊い行為だ。むしろ、見習うべき点である。会話の受け答えに関しては、私もそうだ。囲み取材、記者会見で取材対象者に質問をする際、緊張して回りくどい言い回しになることがある。

 

 自分にも、そういう場面はある。みんなが少しだけでも相手に寄り添い、慮ることができれば、状況は変わるのではないか。

 

 一般社会に暮らす障がい者や、パラアスリートを支える側に何ができるのか。努力を惜しまない姿勢を称賛できる。言葉に詰まる相手に「ゆっくりで大丈夫ですよ」と言葉や表情、ゆっくりと頷くなどの仕草で伝えることができる。聞く側が急かすようでは、答える側の真の思いは、引き出せない。

 

 私の役割、すなわちメディア目線で言えば、アスリートに質問する際は「簡潔に、ゆっくり、はっきり」を意識するべきだと再認識した。これは相手がパラアスリートだろうが、アスリートだろうが関係ない。両者に対して、簡潔でわかりやすい方がいい。

 

 知的障がい卓球連盟の石川理事長は「知的障がい者は、確かに不器用でコミュニケーションが苦手かもしれない。しかし、彼らは他者に対してすごく優しいんです」と強調した。

 

 目の前の相手は、言葉を振り絞って伝えようとしてくれている。その行為にありがたみを感じ、その姿を慈しむべきだ。

 

 速さ、および早さは強さの一部でしかない。大きさ(フィジカル的な力や権力)も、強さの一部でしかない。利他的精神に由来する優しさこそが、強さの根源であり続けるべきだ。

 

(文/大木雄貴)

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