新生KDの象徴が描く夢 ~D.LEAGUE~

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 日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)は今季大きく舵を切った。まず初年度からディレクターを務めたKEITA TANAKA(現エグゼクティブプロデューサー)が退任。HINATA.Mが新ディレクターとなった。また2025年9月より、組織全体を「KADOKAWA DREAMS Association」と改変。従来の「AVANCE」「A TEAM」「B TEAM」「1.5軍」と分かれていたチーム内組織を「AVANCE」「D1」「D2」「FW」「M」とした。「D1」がD.LEAGUEのレギュラーダンサーして登録されている今季D1所属となったANJUは、昨季の「B TEAM」からの昇格組。新生KDを象徴する2人に話を聞いた。

 

 昨年8月の神奈川・とどろきアリーナで開催したDREAMS主催のワンマンライブ『THE GREATEST SHOW FINAL』でKEITA TANAKAが告げられた新ディレクターの名がHINATA.Mだった。
「今シーズンを続けていく中、あるメンバーの行動に魂をヒシヒシと感じた。彼にだったら託してもいいかもしれない、と。それはなぜかというと、負け様が良かったんです。負けてから逆転する。エースで負けてエースで取り返す。その姿が、男から見てもカッコイイ。自分の背番号は0なんですが、このステージを降りて彼に託したいと思っています」(KEITA TANAKA)

 チーム公式YouTubeでも、チームをまとめる場面も見られ、その地ならしは昨季から進められていたのかもしれない。

 

 ダンサー兼任で重責を担うこととなったHINATA.M。21-22からDREAMSの下部組織出るKFDの 1期生として加わったANJUは「最初はビックリしました。ただダンスの面でもチームを支えていたのはHINATAくんだと思っていた。ダンスの面もそうですし、みんなをまとめられるという面でも、よく考えたら、HINATAくんが完璧だと思っています」と言う。すかさず隣にいたHINATA.Mが「本当に思ってんのか?」と突っ込んでいたが、「本当に思っています!」と返す。そのやり取りに雰囲気の良さが窺えた。
 
 とはいえ、ディレクター兼務という重責は、他のチームにもいるが、そう簡単なことではない。ましてやチームの象徴的な人物であるKEITA TANAKAの後任である。
「改めてKEITAさんの偉大さを感じました。あとは自分がKEITAになろうと思ってもなれないので、自分は自分らしくチームをまとめる。加えてプレイヤーとしても戦うことに関しては、逆にKEITAさんもやってこなかったこと。自分にしかできない色をKADOKAWAにもたらし、それで結果がついてくるようにどうするかを考えているんですけど、ぶっちゃけ大変ですし、すごくプレッシャーもかかっている。ただ、今はそのプレッシャーを楽しみながらやっている感じですね」

 初陣となったROUND.1はDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)という強者との対戦だった。ショーテーマは「零ノ刻」(ぜろのとき)。エースパフォーマンスに新加入のクランパーFLAMEを置き、テーマ同様、新たなKDを予感させるものだった。傘を使ってのシンクロパフォーマンスは乱れが目立つリスキーな選択だったが、12.5%の配分中8.2%を獲得した。エースパフォーマンスこそ個のスキルが高いMESSENGERSのFOOLの前にポイントを奪われたが、コレオグラフィーは12.5%満点評価と圧倒。トータル58.6対41.4で開幕戦を白星で飾った。
 
 FLAMEと共にD.LEAGUEデビューを果たしたのがANJUだ。チーム公式YouTubeのドキュメンタリーによると、選定の末、ANJUはスタメン入りができなかった。しかし、スタメン予定だったASUHAの故障により、本番3日前に急遽メンバー入りしていた。それでもANJUは身体の柔軟性を生かしたポージング、表情豊かな力強い踊りを見せ、堂々のデビューだった。
「最初は、この舞台に立つことが自分の中での目標だった。それが叶った瞬間に思ったのが、“このチームで絶対CSに行きたい”。それまでは正直、自分の力でチームを引っ張るという感覚はなかった。でもこうやってトップチームになり、ROUND.1に出させてもらったからこそ、貢献をたくさんしないいけないと、すごく感じました」
 
 ターニングポイントとなったのは、最終的にANJU起用を決断したHINATA.Mも同じだろう。
「実際にステージに立って踊る姿を見たことがなかったので、その(ANJUを起用する)選択を取るのが難しかった。それでもANJUと一緒にステージに立った時、感じたのは半端ないな。自分がまだ見ていない才能は、ANJU以外にもいる。そこを見出すか見出さないかは自分次第。これまでKEITAさんがやってきましたが、“次は自分の番だ”と感じた1試合でした」
 そして、こうも。
「あのステージに、もしANJUを選んでいなかったら、この才能が開花していなかったかもしれない。そう考えると、自分なりにいい選択だったと思います」
 ANJUはROUND.4まで起用されるなど、チームに欠かせぬ存在となっている。
 
 一方、HINATA.Mのディレクターとしての分岐点は、ROUND.3以降だという。前任者のKEITA TANAKAはエグゼクティブプロデューサーとしてチームを支えており、HINATA.Mの良き相談相手となっている。
「ディレクターとしては右も左もわからない状態だった。KEITAさんのことを見ていたつもりなんですが、実際自分がその立場になったら、ただ作品をつくるだけではないし、作品をつくる前のいろいろと行動しなければなりません。KEITAさんには分からないことがあったら『ここ、どうした方がいいですか』と聞く。あとは強い口調でメンバーに言わなきゃいけない時って絶対ある。KEITAさんが言った方が効果的だと思う時はお願いしたり、自分の口から伝えるべき時は自分から。一緒に二人三脚で走ってきました。でもそれを変えたのがROUND.3以降。そこからは自分が前に立って喋れるように背中を押してくれた感があります」

 

 元々、「人に対して怒れない性格」というHINATA.M。「ずっと切磋琢磨してきた仲間に対し、立ち位置が変わり、自分の中で1個気持ちを上げないと、みんなに伝えられない。そこがダンスより苦労した部分です。今はようやくみんなに対して強い口調で言えるようになってきました。最初はそれを言っている自分にも違和感がありましたし、“ほんとにそれって伝わってんのかな”と考えながらやっていました。やっと慣れてはきましたが、まだ全然って感じですね」

 

 破壊と創造を繰り返しながら、新たなDREAMSを創り上げている最中だ。HINATA.Mはリーグでの王座奪還を睨みつつ、見据える先は「世界」だという。実際、今季は海外からSPダンサー初起用、それも複数ROUNDと国際交流が目立つ。HINATA.Mの目指す「世界」とは――。
「毎シーズン終わった後、オフ期間にチームとしてはアジアやヨーロッパに行く機会がありますが、世界中がひとつになれるのがダンスの良さだと思っています。なぜかというと、言葉はいらないし、ファッションでも繋がれる。それを日本だけでなく世界に広げることによって、世界平和にも繋がる。その架け橋にダンスがなるというのが自分の理想。D.LEAGUE、KADOKAWA DREAMS、そして日本のダンスシーンがもっと世界に飛び出すような架け橋になりたい」

 

 D.LEAGUEから世界へ。新生KDが描く夢は広大である。

 

(文・写真/杉浦泰介、ROUND.1の写真/©D.LEAGUE25-26) 

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