三笘の欠場痛いが…堅い守備こじ開ける中村に期待

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 藤田がメンバーに入らなかったのには驚いた。守田の落選は論議を呼ぶだろうな、とも思った。JリーグのPK戦で結果を出した谷が選ばれなかったのにはガッカリした。とはいえ、100人いれば100通りの考え方があるのが、サッカーというスポーツでもある。

 

 それにしても、三笘の脱落は痛い。

 

 誰が出ても、あるいはいなくなっても質と方向性に変化が出にくいチームづくりを、森保監督は目指してきた。ここまでのところ、その狙いは見事に成功している。

 

 ただ、4年前のW杯カタール大会から、あるいは5年前の東京五輪から、森保監督のチームにとって三笘は切り札であり続けてきた。相手側からすれば、分かっていてもやられてしまう厄介極まりない存在だった。

 

 森保監督は認めないだろうし、それは選手も同じはずだが、三笘が抜けたことによって、日本がW杯で上位に進出する可能性は確実に損なわれた。メッシのいなくなったアルゼンチンが、エムバペを欠いたフランスが、ベストの状態と同じ戦闘力を持ち得るはずもない。どれぐらい戦力が落ちたのかは今後の試合から判断するしかないが、しかし、ポジティブなニュースでないことだけは間違いない。

 

 ただ、幸か不幸か、三笘はメッシやエムバペではない。日本にとっては極めて重要な選手だが、現在のところ、ワールドクラスというわけではない。リカバーはまだ可能だともみる。

 

 さて、展開次第では1次リーグ3位でも決勝トーナメント進出が可能な今大会のレギュレーションを考えると、1勝の持つ意味は従来以上に大きくなってくる。では、日本のグループでもっとも力の落ちる国はどこか。欧州勢の2カ国では、それはチュニジアだという声が大勢を占めている。

 

 おそらく、そうした下馬評はチュニジア陣営にも届いているはず。戦い方としてまず考えられるのは、アフリカ予選を無失点で切り抜けた守りに重きを置くスタイルである。なにしろ、予選9勝のうち4勝が1―0だったというチーム。相手がW杯出場経験のない国ばかりだったとはいえ、これをこじあけるのは、日本はもちろん、オランダやスウェーデンにとっても簡単なことではない。

 

 ちなみに4年前のW杯カタール大会でのチュニジアは、初戦をデンマークと0―0で引き分け、続くオーストラリア戦ではミッチェル・デュークの1発に沈んだものの、最終戦のフランス戦では1―0の大金星を挙げている。フランスがすでに勝ち抜けを決めていたという面はあったにせよ、欧州勢2チームに負けなかったという自信は、今回のチームにも受け継がれていることだろう。

 

 もっとも、これは前評判の高いモロッコについても言えることだが、アラブ地域での開催だった前回大会と違い、今回のスタジアムが彼らにとってのホームとなることはない。苦しい状況でも背中を押してくれる声は、確実にか細くなっていることが予想される。

 

 日本とチュニジアが対戦するのは第2戦。それぞれ初戦の結果によって展開は大きく異なるものの、日本としては、いかにして相手の守備にヒビを入れるかが鍵になってくる。

 

 当然、そのための最適解だった三笘の欠場は痛いが、個人的には中村に期待したい。今季フランスの2部で格下を蹂躙するシーズンを送った彼ならば、ガチガチに守りを固める相手にも慣れているはず。上田との連係が成熟してくれば、鬼に金棒と言えるのだが。

 

<この原稿は26年5月21日付「スポ-ツニッポン」に掲載されています>

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