日本シリーズへの切符を獲得するのは!? 〜CSファイナルステージ展望〜

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 クライマックスシリーズ・ファーストステージは、セ・パともに第3戦までもつれこむ熱戦が繰り広げられた。その結果、セ・リーグは主砲の一発で土壇場での逆転劇を演じた中日(レギュラーシーズン2位)が、パ・リーグは手に汗握る投手戦を制した福岡ソフトバンク(同3位)が、ファイナルステージ進出を決めた。17日からスタートするファイナルステージではプロ野球史上最多となる22回目の日本一の座を狙う巨人、そして3年ぶりに日本シリーズ進出を目指す北海道日本ハムが、それぞれのホームで迎え撃つ。巨人と日本ハムには1勝のアドバンテージが与えられ、先に4勝したチームが日本シリーズの舞台へと進む。果たして、ファイナルではどんな結末が待ち受けているのか。
巨人打線vs.中日投手陣 〜セ・リーグ〜

 東京ヤクルトとのファーストステージ第3戦、1点ビハインドで迎えた8回にトニ・ブランコの満塁弾で逆転するという劇的な勝ち方を収めた中日が、6年連続でファイナルステージの舞台に挑む。待ち受けるのは、レギュラーシーズンで中日に10.5ゲーム差をつけ、圧倒的な力で3年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人だ。しかし、両軍の対戦成績は巨人11勝10敗3分けとほぼ互角であるだけに、巨人にとっても決して侮れない相手である。

 投手陣支える谷繁のリード

 ファーストステージで中日は、チーム防御率2.58(リーグ2位)の底力を見せた。チーム最多の13勝を挙げたエース吉見一起が9月に右ヒジのケガで戦線離脱し、絶対的支柱が不在の中、東京ヤクルト打線を全3試合で1失点ずつに抑えたのだ。第1、2戦では5人、第3戦では4人と、いずれも小刻みな継投策で凌ぎ切った。

 投手陣の台所事情が厳しい中、投手陣をうまくリードし、最少失点に抑える原動力となったのが、キャッチャーの谷繁元信であることは言うまでもない。ポイントとなったのは、主軸への攻め方だ。4番のウラディミール・バレンティンには2本のソロ本塁打を打たれはしたものの、徹底的に厳しいコースを突いた。その結果、5四球を与えている。

 だが、その後の5番・川端慎吾には1安打も許していないのだ。レギュラーシーズンではチームでラスティングス・ミレッジに次ぐ打率2割9分8厘をマークした好打者を完璧に抑えたことで、ヤクルト打線に勢いをつけさせることがなかったのである。

 では、巨人に対してはどうかと言うと、中日バッテリーが最も警戒しなければいけないのは、やはり二冠王の阿部慎之助だろう。チーム別成績を見ても、今季の阿部は全5チームに対して打率3割以上、2ケタ打点をマークしている。それだけに阿部にヒットを打たれることはある程度、覚悟せざるを得ない。重要なのは阿部にタイムリーを打たれ、巨人を勢いに乗せてしまわせないことだ。つまり、ポイントは阿部の前の打者をいかに抑えるかだろう。

 ポストシーズンでは57打席連続でヒットがない谷繁だが、それよりも強力な巨人打線をどう封じるか、の方が優先である。ファーストステージ初戦で先発を担った中田賢一も右肩痛で離脱した中、谷繁のキャッチャーとしての腕の見せどころだ。

坂本、長野が打線のカギに

 今季、勝率6割6分7厘、貯金43という驚異的な数字を残し、3年ぶり34回目のリーグ制覇を果たした巨人。投げてはチーム防御率2.16、打っては534得点、94本塁打、102盗塁と、リーグトップの成績を誇り、全5球団に勝ち越している。投打ともに戦力が整っており、短期決戦においても有利であることに変わりはない。

 特に12球団一のチーム防御率を誇る投手陣は盤石だ。先発には2年連続最多勝(15)の内海哲也、2年連続2ケタ勝利を挙げた澤村拓一、内海に次ぐ12勝をマークしたデニス・ホールトン、高卒2年目ながら6勝2敗、防御率1.86の好成績を残した宮國椋丞。中継ぎには防御率0.84の山口鉄也を筆頭に、福田聡志、高木京介と安定感の光る投手が揃っている。そして、最後は今季抑えとして躍進を遂げた西村健太朗が控えている。先発の柱の一人である杉内俊哉が左肩違和感を訴え、CSの登板を回避したとはいえ、コマは十分にそろっていると言っていいだろう。

 一方、攻撃では打線の要である阿部へのマークが厳しくなることは容易に想像ができる。そのため、その阿部の後の5番に誰を据えるのかが注目されており、フェニックス・リーグで調子の良さをうかがわせた高橋由伸、あるいは不調から抜け出しつつある村田修一の可能性が大きいと見られている。

 だが、巨人ベンチが最も盛り上がるのは、先述したように、やはり阿部のタイムリーだろう。そう考えれば、5番打者以上に上位打線の活躍が重要なポイントだ。特に長打力のある坂本勇人、長野久義が、阿部の一振りで得点するようなチャンスメイクができれば、試合の流れは一気に巨人へと傾く。ランナーが得点圏にいる時ほど、無類の強さを発揮する阿部だけに、坂本、長野がカギを握る。レギュラーシーズン同様の強さを、巨人は短期決戦でも見せることができるか。

データが示す、下剋上の可能性 〜パ・リーグ〜

 3年ぶりのリーグ優勝を果たした北海道日本ハムだが、実は9勝13敗2分けと、3位の福岡ソフトバンクを一番苦手としているのだ。さらに、本拠地の札幌ドームでは2勝7敗1分けで、ソフトバンク相手には地の利も感じられない。その要因として挙げられるのが、3番の糸井嘉男が1割6分3厘、4番の中田翔が1割8分と、中軸2人がことごとく封じられていることだ。加えて、自慢の救援陣も打ち込まれており、対戦防御率はホールド王の増井浩俊が8.00、左のセットアッパーの宮西尚生が4.70、クローザーの武田久が3.68、まさに鷹のカモである。このようにデータ上では、ソフトバンク有利の数字が立ち並ぶ。

キーマンはサウスポーエース

 ファイナルステージ、日本ハムの開幕投手を任されたのは、大ブレークを果たした吉川光夫だ。3年間勝ち星なしのサウスポーは、今季は一転、持ち味のキレのある直球を武器に14勝5敗をあげ、防御率1.71。最優秀防御率のタイトルを獲得。先発の柱となり、メジャーリーグへ移籍したダルビッシュ有の穴を見事に埋めた。吉川は決戦の地・札幌ドームで今季7勝をあげている。また、シーズン終盤には同球場で2戦連続完封、いいイメージを持って臨めるはずだ。ホームの大声援を背にシーズン通りのピッチングができれば、おのずと勝ちは見えてくる。日本ハムには1勝のアドバンテージがあるだけに、初戦をモノにできれば、シリーズの流れが一気に傾く可能性は高い。

 対するソフトバンクのキーマンは、森福允彦で異論はないだろう。彼を一躍、世に知らしめたのは昨季の日本シリーズ第4戦での“森福の11球”である。6回の無死満塁のピンチに登板した中継ぎエースは、打者3人を完璧に抑えた。この快投がシリーズの流れを決めたと言っても過言ではない。13日の埼玉西武とのファーストステージ初戦では、それを彷彿とさせるシーンがあった。2対0とリードで迎えた9回裏、守護神ブライアン・ファルケンボーグの乱調により、無死満塁。その窮地でマウンドに上がった森福は、強心臓ぶりを発揮した。西武打線をショートゴロの間の1点のみに防ぎ、9球で試合を締めたのだ。ソフトバンクにとって、絶対的な信頼をおけるセットアッパーがブルペンに控えているのは心強い。ファイルステージでも森福のピッチングが試合の流れを左右する大事な要素となる。

指揮官の“我慢”対決

 広い札幌ドームでのチーム防御率リーグ1位(ソフトバンク)と2位(日本ハム)との対戦は、ロースコアの接戦が予想される。両指揮官の采配の差が明暗を分けることになるだろう。

 コーチ経験さえもなかった栗山英樹監督が、就任1年目で日本ハムを見事、リーグ優勝に導いた。特に若き大砲・中田翔を4番に据え、不振でも外さなかった。その中田を24本(リーグ2位)、77打点(同3位)と一本立ちさせた功績は大きい。その中田がシリーズで打線のブレーキになった場合に、栗山監督はシーズン同様の我慢の起用法をするのか、それとも非情の決断を下すのかにも、注目が集まる。

 選手起用に関して、もうひとつのポイントは、2番打者に誰を据えるか、だ。開幕当初は稲葉篤紀を置いたが、途中からは主に5番を任せている。経験も豊富で勝負強い稲葉には、中軸以降を打たせたい。そうなると、シーズン終盤に2番を担った西川遥輝と杉谷拳士のどちらかの起用が濃厚だ。20歳の西川、21歳の杉谷が、短期決戦においてラッキーボーイ的存在になれれば、打線のカンフル剤となり、チームの活性化につながるはずだ。

 一方のソフトバンク秋山幸二監督は、就任以来、4年間で2度のリーグ優勝、すべてAクラス入りを果たし、昨季はチームを8年ぶりに日本一を導いた。先日まで混迷を極めたWBC日本代表監督の候補にも挙がるなど、その手腕は高く評価されている。その秋山監督も西武とのファーストステージではシーズンの栗山監督同様に我慢の起用を見せた。第1、2戦音無しだったウィリー・モー・ペーニャを最後まで4番で使い続け、第3戦の先制タイムリーを呼び込んだ。3番の内川聖一が好調なだけに、続くペーニャに当たりが出てくれば、鷹打線が日本ハム投手陣に牙を向くことになる。

 ソフトバンクにとっての懸念材料は、先発ローテーションの構成だ。初戦は陽耀勲だが、2戦目以降、ファーストステージのマウンドに上がった3投手をどう組み込むか。特にエースの攝津正の起用法は大きな焦点だ。今季の最多勝右腕は、ファーストステージの開幕戦で8回無失点の好投を見せただけに、ベンチの信頼も絶大だ。第2戦に先発となると、中4日。第6戦までもつれれば、中3日でのブルペン待機もあり得るだろう。第2、3戦に先発した武田翔太、大隣憲司はともに日本ハム戦で、今季3勝をあげているだけに3戦目以降、他投手を挟みながら、どこに配置するかが、シリーズの行方を決める肝となる。

 今回、3位のソフトバンクが日本シリーズ進出を果たせば、2年前の千葉ロッテ以来の下剋上となる。果たして、ソフトバンクが2年連続日本シリーズへと進むのか、それとも日本ハムがリーグ王者の意地を見せ、返り討ちとするのか。北の大地で歓喜に沸くのは――。注目のファイナルステージ第1戦は今夜、幕を開ける。
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