日本ラグビー協会は5日、9月に開幕するW杯イングランド大会に向けた日本代表第2次候補選手36名を発表した。1月に発表した第1次代表候補から、スーパーラグビーに参戦しているNo.8リーチ・マイケル(東芝)、SH田中史朗(パナソニック)ら6名は選考対象外となり、故障を理由にリストから外していたNo.8アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)が負傷選手としてスコッドに入った。それ以外の新たな候補入りはなかった。今回のメンバーは負傷中の選手などを除き、4月6日からの宮崎合宿に参加。同18日から開幕するアジアチャンピオンシップを戦う。
(写真:「この中にW杯を戦えない選手はいない」と力を込めるジョーンズHC)
「W杯への旅がいよいよ始まる」
 指揮官が未知なる航海への船出を宣言した。W杯での予選プール突破、ベスト8進出を最終目的地に定め、宮崎合宿から航海がスタートする。

 合宿ではトレーニングはもちろん、「今までの習慣を変える。国内ラグビーの戦い方ではやれない」と選手の意識変革も主眼に置く。
「今までの日本代表のW杯のヒストリーを振り返っても、ほとんどの試合で10分経過すると、こちらが0点のまま、引き離される。それは戦術の問題なのか、スピードの問題なのか。きちんと振り返りながら、選手ひとりひとりが理解した上で戦いたい」

 スーパーラグビー参戦で選考対象外となった選手を加えれば、現時点での候補は42名。8月31日までに最終登録メンバーの31名に絞り込まれる。その過程をジョーンズHCはチャールズ・ダーウィンの「進化論」になぞらえ、「自然の成り行きで決まっていく」と表現した。
 
 つまり、適者生存というわけだ。
「選考は難しくない。いい選手を選べばいい」
 指揮官の思考はいたってシンプルだ。「ポジションが保証されている選手はいない。15の枠を目指して戦ってほしい」と生存競争を勝ち抜いての進化に期待を寄せる。

 進化を促す上では熾烈な環境も用意する。4月から5月にかけて計4試合を戦うアジアチャンピオンシップにおいては「香港戦を13人で戦うかもしれない」と驚きのプランも披露した。「苦しい状況に追い込むことでW杯の準備につながるなら」と本番での強豪との戦いをにらみ、格下相手のテストマッチも有効活用する考えだ。

「W杯まで、すべてのテストマッチで勝ちたい。ひとつも負けずにW杯に臨む。それが成功につながる」
 大会前に予定されているのは12試合。ジョーンズHCは「すべて右肩上がりにはなかなかいかないと思うが、ターゲットは決まっている」と予選プール初戦の南アフリカ戦(9月19日)にすべての照準を合わせる。

 南アフリカ戦まで残り198日。「W杯では勝つことしかない。勝ち負けがすべて」と断言する“船長”率いるジャパンがマストを上げ、世界の荒波を乗り越える。

<代表スコッド36名>

FW
ジャスティン・アイブス(キャノン)、有田隆平(コカ・コーラ)、伊藤鐘史(神戸製鋼)、宇佐美和彦(キャノン)、大野均(東芝)、垣永真之介(サントリー)、木津武士(神戸製鋼)、トンプソン・ルーク(近鉄)、長江有祐(豊田自動織機)、畠山健介(サントリー) 、平島久照(神戸製鋼)、マイケル・ブロードハースト(リコー)、ヘイデン・ホップグッド(釜石)、ホラニ龍コリニアシ(パナソニック)、ホラニ龍シオアペラトゥー(パナソニック)、三上正貴(東芝)、村田毅(NEC)、山下裕史(神戸製鋼)、湯原祐希(東芝)

BK
クレイグ・ウィング(神戸製鋼)、内田啓介(パナソニック)、五郎丸歩(ヤマハ発動機)、マレ・サウ(ヤマハ発動機)、立川理道(クボタ)、田村優(NEC)、廣瀬俊朗(東芝)、日和佐篤(サントリー)、福岡堅樹(筑波大)、藤田慶和(早大)、カーン・ヘスケス(宗像サニックス)、 ティム・ベネット(キャノン)、矢富勇毅(ヤマハ発動機)
※ベネットは6月1日に代表資格取得予定

負傷選手
堀江翔太(パナソニック)、真壁伸弥(サントリー)、アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)小野晃征(サントリー)

<スーパーラグビー参戦のため対象外>
稲垣啓太(パナソニック)、ツイ・ヘンドリック(サントリー)、リーチ・マイケル(東芝)、田中史朗(パナソニック)、松島幸太朗(サントリー)、山田章仁(パナソニック)