7日、東京オリンピック・女子マラソンが北海道・札幌大通公園を発着点に行われた。ペレス・ジェプチルチル(ケニア)が2時間27分38秒で金メダルを獲得した。銀メダルは16秒差でブリジット・コスゲイ(ケニア)が、銅メダルは26秒差でモリー・セイデル(アメリカ)が手にした。日本勢は2時間30分13秒で8位の一山麻緒(ワコール)が最高成績。日本勢の入賞は2004年アテネオリンピック(野口みずき1位、土佐礼子5位、坂本直子7位)以来の4大会ぶり。鈴木亜由子(日本郵政グループ)は2時間33分14秒で19位、前田穂南(天満屋)は2時間35分28秒で33位だった。

 

 前日に急遽、スタート時刻が午前6時と1時間前倒しとなった女子マラソン。制したのは、ジェプチルチルだった。「世界の人は暑くても強かった」とは、日本人最高位の一山。公式記録によるとスタート時の気温が25度、湿度は84%。15人が途中棄権したタフなレースを引っ張ったのは、やはりアフリカ勢だった。

 

 入りの5kmは18分2秒とスローペース。先頭集団は大きな塊となって形成された。19年世界選手権金メダルのルース・チェプンゲティッチ、現世界記録保持者のコスゲイらケニア勢が前方でレースをつくった。10㎞通過は36分16秒。5kmのペースは依然として上がらない。しかし、ここで鈴木が先頭集団から離された。

 

 先頭集団は15kmを53分47秒、20kmを1時間11分27秒で通過した。前田が離され始めた。徐々に集団から人が減っていく。30kmを過ぎるとチェプンゲティッチが先頭集団から遅れをとる。一山も踏ん張っていたが、33kmあたりで脱落した。38kmを前にジェプチルチルとコスゲイのケニア勢に優勝を争いは絞られた。制したのは40km過ぎに仕掛けたジェプチルチル。フィニッシュタイムは2時間27分38秒で表彰台の頂点に立った。

 

 優勝争いから脱落し、一時は9位に順位を下げた一山は、その後1人をかわして8位でゴールした。シドニー、アテネとオリンピック連覇を果たしながら、北京、ロンドン、リオデジャネイロでは届かなかった入賞。24歳の日本女子現役最速ランナーが見せた走りは、復活の狼煙となるか。

 

(文/杉浦泰介)