(写真:悲願の優勝トロフィーを掲げるISSEI。今季限りでリーグから去る)

 日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE2021-22」のCHAMPIONSHIP(CS)が東京ガーデンシアターで行われた。レギュラーシーズンの上位4チームとワイルドカード2チームで争われたCSは、ファイナルで昨年4位のKOSÉ 8ROCKS(コーセーエイトロックス)が同王者のavex ROYALBRATS(エイベックスロイヤルブラッツ)を破り、初優勝。同率3位にはレギュラーシーズン1、2位のSEGA SAMMY LUX(セガサミールクス)とFULLCAST RAISERZ(フルキャストレイザーズ)が入った。

 

 今季限りでの退団が決まっているISSEIが有終の美を飾った。弟でチームメイトのTAICHIは「いいかたちでお兄ちゃんを送り出したいと思っていた。それが結果となって良かった」と喜んだ。昨季、ISSEIはMVDを含む2冠を達成したものの、リーグ4位に終わった。

「2020-21シーズンがめちゃくちゃ悔しかったけん、(CSで)2回負け。だから絶対にみんなと獲りたかった」(ISSEI)

 

  今季は11チームによる争いでラウンド12を行った。この日のCSには上位4チームに加え、5位以下のうちジャッジポイント(JP)とオーディエンスポイント(AP)の1位チームがそれぞれワイルドカードとして出場。JPでSEPTENI RAPTURES(セプテーニラプチャーズ)が、APでは新規参入のdip BATTLES(ディップバトルズ)がいずれも初のCS進出を果たした。

 

(写真:セミファイナルではジャズに乗せて一味違うブレイキンを披露)

 1回戦はそのRAPTURESがレギュラーシーズン4位のROYAL BRATSと、BATTLESが同3位の8ROCKSと対戦。いずれもレギュラーシーズン上位チームがセミファイナルに勝ち上がった。だがセミファイナルはROYAL BRATSと8ROCKSが上位チームのLUXとRAISERZを破る“下剋上”。ファイナルは連覇を狙うROYAL BRATSと、初優勝を目指す8ROCKSがぶつかり合った。

 

 先攻(青)のROYAL BRATSは喜怒哀楽で言えば“楽”を全面に出したショーケースとなった。今季は昨季の優勝メンバー、ディレクターが総入れ替えという中、2年連続でファイナルの舞台まで辿り着いた。オリジナル楽曲「WE」に乗せてダンスを楽しむメンバー。感情表現豊かにステージを舞った。

 

(写真:ダイナミックなパフォーマンスで観衆を沸かせた8ROCKS)

 後攻(赤)の8ROCKS。「PARTY」をテーマにしたというショーケースは、メンバーが跳び回るアクロバティックなブレイキン(ブレイクダンス)を連発する。スピーディーかつスキルフルなダンス。止め、跳ねが際立つクールなパフォーマンスでオーディエンスを沸かせた。

 

 9人のジャッジ+オーディエンス投票で勝者が決まる。レギュラーシーズンは採点による合計ポイントで争われるが、CSはシンプルに青か赤のどちらかを選ぶシステム。緊張の瞬間、ジャッジ+オーディエンスひとつずつの判定がオーロラビジョンに表示された。赤、青、赤、赤、赤、赤、赤、青、赤。7対2で8ROCKSの初優勝が決まった。

 

 ダンサージャッジを務めたダンサー兼モデルのSTEZOは8ROCKSのパフォーマンスについて、こう評価した。

「最初からタイトなルーティンで、中盤落ちるかと思ったら、落ちずにジェットコースターのように雪崩れ込むような感じ。隙が無かった。それでいて“PARTY”な感じで観ている方も楽しく観られた」

 

 ゲストジャッジの1人、スピードスケートのオリンピック金メダリスト清水宏保はアスリート目線で8ROCKSを称えた。

「1回戦からずっとひねり技を加えている。体幹周りは疲労がピークなはず。あのひねり技は相当練習量をこなし、体幹周りを鍛えないと出せない。あれだけしなやかに動くのに中心の軸がしっかり保たれている。人間とは思えない離れ技だった。それをよく最後までやってのけた。素晴らしいパフォーマンスありがとうございました」

 

(写真:8ROCKSの象徴的存在。今後はパリオリンピック出場を目指すなどブレイキンの世界で邁進する)

「CSの練習はマジで地獄だった」とISSEI。3戦勝つ抜くためのトレーニングを振り返った。昨季のリベンジに成功し、「ダンスやってて良かったとマジで思ったー」とステージ上で叫んだ。今季限りでD.LEAGUEを去るISSEIは「もっと進化して面白いD.LEAGUEつくっていこうぜ!」と仲間たちにエールを送り、「これからも僕は僕なりに全力で前に進む」と語った。

 

(文/杉浦泰介、写真/©D.LEAGUE21-22