「やばいだろ」梅野源治、宣言通りの肘でKO ~KNOCK OUT~

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 23日、キックボクシングイベント『KNOCK OUT 2022 vol.4』が東京・後楽園ホールで行われた。メインイベントのKNOCK OUT-RED (肘あり)-61.5kg契約で梅野源治(PHOENIX)が大谷翔司(スクランブル渋谷)を3ラウンド終了間際に右肘で眉間をカットしてのTKO勝ち。3年ぶりの白星を挙げた。

 

 宣言通りのストップ勝ちだ。試合前から「『梅野源治、やばいだろ』と思ってもらえる試合をしたい」と語っていた梅野。「やばいだろ」は今年3月の『RIZIN.42』で皇治(TEAM ONE)に判定で敗れた際、梅野がジャッジに対して発した言葉で、試合後からSNS等で大きな反響を呼んだ。

 

 梅野自らもネタとして多用しているが、ムエタイの本場タイの二大殿堂と言われるラジャダムナンスタジアム認定のライト級王座を含む8つのベルトを手にし、“日本ムエタイ界の至宝”と呼ばれた男が、失地回復に燃えていたのは事実だろう。かつて、KNOCK OUTのリングで「キング」と呼ばれた梅野。ファイターの価値は試合で上げていくしかない。

 

 対する大谷は自衛隊徒手格闘訓練隊出身のファイター。今年4月の『RIZIN TRIGGER 3rd』でKO勝ちを収めるなど上り調子にいる。ここで名のある梅野を倒し、キック界のライト級トップ戦線に躍り出たいところだった。

 

 ゴングが鳴ると、戦前の予想通りの展開でスタートした。梅野は左ミドル、肘を中心としたムエタイスタイル。大谷は右のカーフキック(ふくらはぎを狙う蹴り)、パンチを軸に組み立てた。梅野のキックに合わせて、打撃を返し、梅野がバランスを崩す場面も。1ラウンドは互角に近い戦いだった。

 

 2ラウンド目からは左ミドルで距離をコントロールする梅野のペースに。大谷も間合いを詰めてパンチを狙いにいくが流れを変える一打は届かない。最終3ラウンドに入っても梅野は左ミドルと肘で試合をコントロール。大谷の右脇腹から背中は赤く染まる。

 

 ラウンド終盤、このままでは判定で厳しいと見て、大谷が前に出る。相手にロープを背負わせたが、残り10秒を知らせる拍子木が鳴った後、突然の結末が訪れる。梅野の右肘が大谷の顔面に炸裂、ふらついて後退した大谷の眉間は深く切れており、レフェリーが試合を止めた。

 

 勝利した梅野はリング上で「肘ありのムエタイルールの梅野源治は強いんだっていうところを皆さんにお届けできるように頑張ります!」とマイク。そして、こう続けた。

「RIZIN、見てるんだろ? オマエらが見たい試合、ムエタイルールのオレなら見せられるから、見せてやるから、早くオファーして来いよ、やばいだろ!」

 

 一方、“至宝狩り”を狙った大谷は返り討ちに遭ったかたちだ。2ラウンドからは相手のペースに持ち込まれた。左ミドルで得意の右ブローの威力を削がれたように映った。最後は一発逆転に賭けたが、肘で眉間をパックリ切られ、キャリア8敗目を喫した。

 

 宮田充プロデューサーは「後半3試合が盛り上がり、メインは梅野君が貫録を見せてくれた。やはりメインイベンターだな、と思った」と総括。梅野に対し、「僕はまた上がって欲しい」と今後もオファーすることを示唆した。敗れた大谷についても「ここ1、2年でいいキャリア積んできて、INNOVATIONのチャンピオンにもなった。負けはしましたが、これでトップとの実力差がわかったと思う。傷が癒えたら、また頑張って欲しい」と語った。

 

 後楽園ホールに詰め掛けた約1400人が白熱した試合に沸いた。9試合中4試合がKO決着(1試合は延長戦)。両者が膠着した、いわゆる“塩試合”は少なかったように思えた。KNOCK OUTの次戦は8月6日、東京・新宿FACEで行われる。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

■そのほかの試合の写真

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>>梅野源治選手「星に願いを」前編後編(2012年9月掲載)

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