(写真:優勝セレモニーで賞金ボードを掲げるXDのメンバー)

 30日、3人制バスケットボールの国内大会「3x3 JAPAN TOUR 2022」EXTREMEカテゴリーRound.7が東京・コレド室町テラスで行われた。女子ファイナルはXD(クロスディー)がTeam hustleを16-15で破り、今季ツアー初優勝。男子はSIMON.EXE(サイモン・エグゼ)が制した。

 

 6チームで争った女子は2組に分かれ、プール1位のチームがファイナルに進出する。各試合10分一本勝負で戦い、21点先取すればKO勝ち。プールAはXDがFLOWLISH GUNMA、TOKYO DIMEを破り、2連勝でファイナルに進んだ。プールBはTeam hustleがスター交通InterOizumi、OWLS(アウルズ)にKO勝ち。XDは今季ツアー初、Team hustleは2度目のファイナルだ。

 

 両チームの今季ツアー初制覇がかかるファイナル。先制したのはXD。ポイントゲッターの齊藤桃子がジャンプシュートを沈めた。XDが先行し、Team hustleが追いかける展開でゲームは進んだ。試合時間残り1分の時点で14-14。均衡を破ったのは齊藤のパスから高橋優花が決めた。1点勝ち越すと、齊藤が切り込んで2点差に。最後はTeam hustleに1点を返されたものの、リードを守り切った。

 

 チームの得点源としてスコアを重ねた齊藤は、「みんなに救われた。あとの2人がリバウンド頑張ってくれて攻撃をつなげることができた」とチームメイトの高橋、塚野理沙に感謝を述べた。ベンチに控える猪﨑智子はケガやチームの流れが悪い時に出場する。「コート内の監督」(齊藤)。精神的支柱としてチームを支えた。

 

(写真:切れ味鋭いドライブで何度もスコアを重ねた齊藤)

 齊藤曰くポイントとなったのはファイナル進出をかけたプールAのTOKYO DIME戦。「今年勝ったことがなかった」という相手に21-10でKO勝ちと圧倒し、勢いに乗った。ファイナルで接戦を制し、今季ツアー初制覇。FINALステージに向け、前進した。

 

 今後に向け、齊藤は「もっと自分たちが楽しんでバスケットをする」と意気込んだ。それはファンだけに向けられたものではない。彼女はチームメイトと共にFID(知的障がい者)バスケットボール日本代表のコーチも務めており、「自分たちが携わっているFIDバスケットの子たちが観ていて、ワクワクするようなプレーをしたい」からだ。

 

 男子は9チームがエントリー。3組に分かれ、各プール1位と最も成績の良い2位チームがセミファイナルに進む。プールAからUTSUNOMIYA BREX.EXE、TOKYO DIME.EXE、同BからALPHAS 3x3.EXE、同CからSIMONがセミファイナルに進出。TOKYO DIMEを破ったSIMON、ALPHASを下したUTSUNOMIYA BREXがファイナルにコマを進めた。

 

(写真:3人で4試合を戦い抜き、疲れた様子のSIMON)

 今大会メンバーに体調不良が出たため、3人で戦うことになったSIMONだが、ソロモン・クーリバリー、ドゴシェア・マルコ、ニコラ・パヴロヴィチが奮闘。残り1分33秒でソロモンがツーポイントを沈め、21-19でKO勝ち。今季ツアー2勝目を挙げた。

 

 この日の大会は日本橋地域の商業施設「コレド室町テラス」で行われた。有観客試合ではあるが、入場料は無料。3x3目当てに訪れた人もいれば、近くを寄った人が「何やっているの?」と興味本位で立ち止まることもあった。スマートフォンのカメラを向けて試合の写真や動画を撮影する人もいた。

 

 場内のMCを務めたMOJA(モジャ)は試合の実況、試合間のフリースローチャレンジを仕切った。普段はJAPNA TOURのほか、Wリーグの東京羽田ヴィッキーズのホームゲームMCやSOMECITY(3on3形式のストリートバスケリーグ)でもMCを務めている。

「お客さんがいるとプレーやMCに対する反応が返ってくるのでいいですね。まだお客さんたちは声を出すことができませんが、音楽に乗って手拍子をしてくれる。すごく雰囲気が出てきた」

 

(写真:白熱した試合展開に会場にも人だかりができた)

 MOJAに3x3の魅力を聞くと、「選手たちの競技として真剣に向き合っている熱さが伝わってくる」と返ってきた。それは選手と観客、ファンとの距離感の近さに依るのだろう。XDの齊藤も「観客の方と距離が近いのが一番の魅力。ファンとの距離感があり、試合の臨場感もあるんです」と言うように物理的にも精神的にも距離感が近い。選手たちが試合間や試合後にファンサービスに応じる場面は度々見受けられた。

 

 昨年夏の東京オリンピックで初採用となった3x3。認知度は着実に上がっているが、まだメジャーな種目とは言えない。一方で屋外の会場で味わえるライブ感、エンターテインメント性には大きなポテンシャルがある。他業種とのコラボなどで掛け算ができれば、魅力は何倍にも膨れるのではないか――。そう熱い期待感を抱かせるに十分な真夏の週末だった。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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