(写真:人気TikTokerの景井ひな<前列中央>と共にTikTok撮影に臨むA東京の選手たち)

 19日、男子プロバスケットボールリーグ『B.LEAGUE』のアルバルク東京(A東京)が2022-23シーズン渋谷TIP OFFイベントを渋谷キューズ内スクランブルホールで開催した。同イベントには林邦彦代表取締役社長ほか、ディニアス・アドマイティスHC、SG田中大貴らが出席。新シーズンに向けた意気込みを語った。

 

 4季前の王者が再び渋谷区代々木に帰ってきた。ホームタウンは渋谷区だが、ここ5シーズン、ホームアリーナに立川市のアリーナ立川立飛を使用していた。今季は国立競技場代々木第一体育館でホームゲームを戦う。6季ぶりの代々木帰還(16-17シーズンは代々木第二体育館)となった。アリーナ立川立飛の約3000人収容に対し、代々木第一体育館は1万人超の収容人数を誇る。同じ2000人でも後者の方が空席は目立つ。これまで以上の集客力を求められるシーズンとなる。

 

(写真:京王井の頭線渋谷駅アベニュー口の改札には選手のパネルを配置)

 林社長が「今季は大きく2つの変化がある」と述べたのは、1つは新HCの就任で、もう1つが代々木への帰還についてだ。「渋谷は世界でも最先端の発信拠点。営業面でも大きい」。それゆえこの日のTIP OFFイベントの場所に、渋谷駅に直結した複合施設型超高層ビルの渋谷スクランブルスクエア内のを選んだのだろう。チームによれば、新体制のお披露目を渋谷区内で行うは初の試み。今月5日の必勝祈願は代々木体育館の近くにある明治神宮で実施し、25日のTIP OFFファンイベントは代々木第二体育館で行うなど渋谷色を強めている。

 

 力を入れるのはSNS戦略もだ。「元々配信に力を入れていこうと始まった。静止画を含め、ツイートの数をリーグの中で競い合いながら順位をつけていた。最近は動画がトレンドになっている。クラブの知名度を上げているのが動画配信。静止画より動画の方が観ていて楽しいでしょうし、TikTokのような短いものは、いつでもどこでも観られているところに特長がある。リーグも力を入れていくと発信していますし、私ども大きなパワーを割くつもりです」(林社長)。この日のイベントでも、人気TikTokerから景井ひなのアドバイス、レクチャーを受けながら実際にファンの前でTikTokの撮影を行った。

 

 今季のチームスローガンは『Next FAZE』(写真)。次の段階へ向かう「Next Phase」と、心を騒がせる・驚かせるの意味を持つ「Faze」を掛け合わせた造語である。林社長は「新しいフェーズに向かってチャレンジする。より良いざわめき、心躍る試合をしていきたい」と意気込んだ。より良いざわめき、心躍らせるための方策のひとつがSNS戦略だが、一番大事なのは試合で魅せることだ。5季ぶりの王座奪還に燃えるチームは5シーズンHCを務めたルカ・パヴィチェヴィッチ氏に代わり、リトアニア代表HC経験のあるアドマイティス氏が指揮を執る。

 

 キャプテン田中のアドマイティスHC評はこうだ。「HCである前に人として素晴らしい方。選手とも頻繁にコミュニケーションを取ってくれる。早く彼のやりたいバスケットを理解して、シーズンを通して高め合っていければいい」。アドマイティスHCは目指すスタイルとして「速い展開でディフェンスからも仕掛ける。皆さんに楽しんでもらえるバスケットをしたい」と口にした。いち早くアドマイティス流を浸透させていくためにもキャプテン2季目、チーム在籍はアーリーエントリーを含め9季目を迎える田中のリーダーシップが重要になるはずだ。その点は指揮官の信頼も厚い。

「姿勢で全員を引っ張る力がある。スキルだけでなく、コミュニケーションをよく取っている選手。それと同時にユーモアもある。チームを一丸にし、良い雰囲気で日々を過ごしています。大貴には期待と同時にチームを引っ張る力を精一杯見せて欲しい」

 

(写真:新加入の藤永<左か2番目>らガード陣の奮起が期待される)

 4季ぶり3度目のチャンピオンへ。王座奪還に燃えるA東京が新たな指揮官の下、新たなスタイルで、次のフェーズに向かう。

 

(文・写真/杉浦泰介)