さる9月2日(日本時間3日)パドレスのダルビッシュ有がドジャース戦で今季12勝目を挙げたことにより、メジャーリーグでの日本投手の通算勝利数は1000(938敗)に達した。

 

 

<この原稿は2022年9月26日、10月3日合併号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 通算勝利5傑は次のとおり。

 1位・野茂英雄、123勝

 2位・ダルビッシュ有、91勝

 3位・黒田博樹、79勝

 4位・田中将大、78勝

 5位・岩隈久志、63勝

 

 特筆すべきは野茂である。村上雅則に次ぐ2人目の日本人メジャーリーガーだが、日本プロ野球が“鎖国状態”にある中、自らの意志で海を渡ったという意味で、彼こそは実質的なパイオニアと言えよう。

 

 パ・リーグで沢村賞1回、MVP1回、最多勝4回、最優秀防御率1回、最多奪三振4回など、数々のタイトルを手にしてきた野茂だが、ドジャース初年度の年俸は、わずか8万ドル(当時・約980万円)。日本ナンバーワン投手と言えども、メジャーリーグの評価は、その程度だったのだ。

 

 ややもすると忘れがちだが、当初、ドジャースとはマイナー契約だった。オープン戦で結果を残したことにより、1995年4月30日、デビュー2日前にメジャー契約を勝ち取ったのである。

 

 もし野茂の挑戦が失敗に終わっていたら、日本の投手が、その後、続々と海を渡ることはなかっただろう。松坂大輔、ダルビッシュ、田中が目ん玉が飛び出るような契約金や年俸を手にすることもなかったように思われる。その意味で後輩たちは、野茂に感謝すべきである。

 

 メジャーリーグで新人王、そして2度の奪三振王に輝いた野茂だが、どうしても届かなかったタイトルがある。ア・ナ両リーグで、その年に最も活躍したピッチャーにおくられるサイ・ヤング賞である。

 

 最も有力視されているのがダルビッシュ。過去に2度(13年と20年)、記者投票で2位になっている。投手に専念すれば、もちろん大谷翔平にも可能性はあるが、本人もファンも望んでいるのは二刀流の継続である。

 


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