30日、11月1日にさいたまスーパーアリーナで行われるボクシングのダブル世界戦の記者会見が都内で開催された。会見にはWBC王者の寺地拳四朗(BMB)、WBAスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)、WBO王者のジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)のライトフライ級3団体王者らが揃い踏み。統一戦を行う寺地と京口、岩田翔吉(帝拳)との防衛戦に臨むゴンサレスが、それぞれ意気込みを語った。

 

 待望の日本人王者による統一戦がついに実現する。大学時代から凌ぎを削ってきた寺地と京口。アマチュアでの対戦成績は2学年上の寺地が3勝1敗と勝ち越している。無敗の王者・京口にしてみれば、同じ階級にいる以上、倒さずにはいられない相手だろう。一方の寺地は昨年9月、矢吹正道(緑)に敗れ、連続防衛は8で途切れたものの、今年3月にリマッチを制した。更なる失地回復を果たすため、今度は狙いを統一王者にシフトしている。

 

 2階級制覇王者の京口は「今まで積み上げきたトレーニングが結果に繋がると思っている。あとはやるだけ」と自信を見せる。WBA王座を奪取した試合を含め、ライトフライ級での5試合中3試合を海外で戦った。マカオ、アメリカ、メキシコでのタフなファイトを制してきた経験は彼の血となり、肉となっているはずだ。寺地についてコメントを求められると「生物的に上回りたい」と力強い答えを返した。

 

「今まで以上に緊張感もワクワクもすごく高い。モチベーションも上がっています」と寺地。「練習でやってきたことをしっかりやれば、絶対に勝てる自信がある。冷静に戦いたい」と語った。同じように京口についてのコメント求められると、「相手どうこうより、自分が仕上げて自分のボクシングをするだけ」とマイペースを強調した。既にリミット(48.988kg)まで落としているといい、「今日はゆっくりするだけ」と余裕の表情を見せた。

 

「自分のボクシングをするだけ」という寺地のコメントを踏まえると、足を使いながらアウトボクシングを見せることが予想される。前回の矢吹戦は好戦的な戦いを見せたものの、本来のボクシングスタイルはある程度距離を取って仕留めどころで仕掛ける。強打の京口にインファイトで打ち合いにいくとは考えにくい。京口とすれば、相手にペースを握らさせずに得意の左ボディを打ち込みたい。いずれもスタミナに不安はなさそうなため、長期戦、判定決着となる可能性は高いだろう。

 

 この試合の勝者は次戦も統一戦に挑む可能性がある。京口は「これまで通り、目の前の試合のことだけ」と留めたが、寺地の方は「勝ってWBOのチャンピオンとできればいい」と、その想いを明らかにしたからだ。またWBO王者ゴンサレスも「チャンスがあれば勝者とやりたい」と口にした。とはいえゴンサレスが岩田に敗れることがあれば、どうなるかはわからない。岩田は今後について「この試合(WBOタイトルマッチ)は発言権を得るための試合。勝ってから言おうと思っている」と王座奪取に集中している。11月1日、埼玉に集う3団体のベルト。ライトフライ級戦線がヒートアップする。

 

(文・写真/杉浦泰介)