16日、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準々決勝が東京ドームで行われ、侍ジャパン(野球日本代表)がイタリアを9対3で破った。岡本和真(巨人)、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)のホームランなどで9得点を挙げると、守っては5投手の継投で逃げ切った。侍ジャパンは5大会連続準決勝進出。次戦はプールC1位メキシコとプールD2位プエルトリコの勝者と対戦する。

 

◇準々決勝

 先発・大谷、5回途中2失点の気迫のピッチング(東京ドーム)

イタリア(プールA2位)

3=000|020|010

9=004|030|20X
日本(プールB1位)

勝利投手 大谷翔平(2勝0敗)

敗戦投手 ジョセフ・ラソーサ(0勝1敗)

本塁打 (日)岡本和真1号3ラン、吉田正尚1号ソロ

    (イ)ドミニク・フレッチャー1号ソロ

 

 勝てばアメリカ行きが決まり、負ければ侍ジャパンの旅路は東京で終わる。栗山英樹監督は大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)に先発マウンドを託した。MLBでの開幕投手が予定され、今大会の登板はこれが最後と見られている。大谷は投球のたびに声を張り上げるほど、気迫溢れるピッチングを披露した。

 

 初回、先頭バッターをフォークで空振り三振に切って取ると、3番のドメニク・フレッチャーにヒットを許したものの、ゼロで抑えた。2回には、164kmのストレートで空振り三振に仕留める。続くバッターをファーストゴロ、空振り三振。3回も三者凡退に抑えてスコアボードにゼロを並べた。

 

 試合が動いたのは3回裏。イタリアは先発ライアン・カステラーニを諦め、ジョセフ・ラソーサをマウンドに送る。準々決勝進出を決めたオランダ戦で、6回無死満塁のピンチを凌いだサウスポーに1番から5番まで左打者が続く侍ジャパン打線封じは任された。

 

 1死後、2番の近藤健介(福岡ソフトバンク)がフォアボールで出塁、続く大谷が見せた。無死一、二塁で迎えた第1打席は、イタリア守備陣が敷いたシフトの網にかかりショートライナーに終わっていた。第2打席は右寄りに位置する内野陣の裏をかくセーフティーバントでチャンスを広げた。

 

 1死一、三塁の場面で打席には、1次ラウンド、打率1割台と不調の村上宗隆(東京ヤクルト)に代わって4番に“繰り上がった”吉田が立つ。センター前に抜けそうな当たりだったが、二塁ベース寄りに位置していたショートに捕球された。内野ゴロの間に近藤が生還。最低限の仕事を果たした。

 

 5番に下がった村上は四球を選び、1死一、二塁。東京ドームを本拠地とする巨人の主砲に一発が飛び出した。岡本は2-2からの変化球をレフトスタンドへ運んだ。1、2回と得点圏にランナーを進めながら得点を奪えなかった侍ジャパンだが、4点を先制した。

 

 4回表からは大谷の疲れか、勝ちを意識してか球が高めに浮き始める。この回はなんとかゼロで抑えたが、5回表は2つのデッドボールで塁を埋めると、Do・フレッチャーにライトへの2点タイムリーを許してしまった。

 

 4対2と2点差に詰められた侍ジャパン。栗山監督は大谷に代え、伊藤大海(北海道日本ハム)をマウンドに送った。一昨年の東京オリンピックでは好リリーフした伊藤が、WBCの舞台でもしっかりと火消し。1次ラウンドで打率4割をマークした4番ブレット・サリバンをショートフライに打ち取った。

 

 すると、その裏、眠れる大砲にようやく長打が飛び出した。大谷がフォアボール、吉田がデッドボールで無死一、二塁のチャンス。ここで村上が初球を迷いなく振り抜いた。打球は左中間を破るタイムリーツーベース。今大会初の長打&タイムリーでトンネルを脱出したか。続く岡本のツーベースで2人が還り、7対2と点差を広げた。

 

 6回表から今永昇太(横浜DeNA)が1イニング、7回表からはダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が2イニングを任された。ダルビッシュが一発を浴びたものの、イタリアの反撃はこの1点に抑えた。8回裏には吉田の一発と源田壮亮(埼玉西武)のタイムリーで加点。最終回は大勢(巨人)が抑え、9対2で試合を締めた。

 

(文/杉浦泰介)