(写真:豪華なゲスト陣と一般参加者が乾杯)

 22日、ラグビーの「リポビタンDチャレンジカップ2023パシフィックネーションシリーズ」日本代表(ジャパン)vs.サモア代表が北海道・札幌ドームで行われた。同会場から800km以上離れた東京都港区にあるグランドプリンスホテル高輪では、JRFU(日本ラグビーフットボール協会)公認オフサイト・ホスピタリティ「ホスピタリティ・ライブビューイング リポビタンDチャレンジカップ2023パシフィックネーションズシリーズ 日本代表vsサモア代表」を開催。主催はラグビー日本代表オフィシャルサポーターの凸版印刷だ。

 

 ホスピタリティ・ライブビューイングとは、凸版印刷が、日本ラグビーの裾野拡大を目指し、開催するイベントだ。昨年7月2日のフランス代表戦(東京都渋谷区・CĒ LA VI CLUB LOUNGE)、10月29日のニュージーランド代表戦(東京都港区・グランドプリンスホテル新高輪)に続く第3弾となる。

<「ホスピタリティ・ライブビューイング」とは新しいスポーツの観戦スタイルで、参加者は、この日のために用意された贅沢な空間で、中継映像による試合観戦のほか、フードやドリンク、ここでしか聞けないゲストによる解説などのエンターテインメントを堪能いただけます>(TOPPAN SPORTSホームページ)

 

 まちの広場やスタジアムなどで大人数が参加する競技中継中心のパブリックビューイングとは違い、ホスピタリティ・ライブビューイングは競技中継観戦のほかにラグジュアリーな体験が付与される。今回、グランドプリンスホテル高輪の宴会場プリンスルームを貸し切り、料理はこの日だけの特別メニューが用意された。ゲストも豪華絢爛だ。元ジャパンの伊藤剛臣氏、大畑大介氏、大野均氏、真壁伸弥氏に加え、ジャパンの育成年代の指導者を務める野澤武史氏、女子現役選手の斎藤聖奈と鈴木美沙紀が参加した。1席4万5000円。決して安くはないが、この特別な空間を約130人の一般参加者が満喫した。

 

 この日のジャパンの対戦相手がサモアということもあり、料理には同国の主食であるタロイモやバナナが使われていた。またゲストがサモア戦の見どころや自身の経験談を披露。伊藤氏と大畑氏は1999年、W杯シーズンのテストマッチで勝利したものの、本大会では敗れた。大畑氏は「全然違うチームだった」と振り返った。また2015年大会で対戦した大野氏と真壁氏は相手の特徴として「フィジカルの強さ」を挙げた。さらに昨年からワールドラグビーの代表資格の規定変更により選手層が厚くなったことを指摘。日本のリーグでもプレーした元オーストラリア代表のSOクリスチャン・リアリーファノらが代表入りを果たした。今回のテストマッチメンバーには選ばれなかったが、元ニュージーランド代表のSOリマ・ソポアンガもおり、「怖い存在になりつつある」と真壁氏も警戒する。

 

(写真:じゃんけんによるジャージー抽選会は3度行われた)

 キックオフ後はゲストたちが各テーブルを回り、写真撮影など一般参加者との交流会が行われた。野澤氏は試合の解説を担当。現ジャパン選手を指導した際のエピソードなども披露し、一般参加者に選手の魅力を伝えた。試合でジャパンが先制すると、会場では日本コールが響き渡った。劣勢の場面でも札幌へのエールとして日本コール。会場の隅では子どもがボール遊びをする和やかな雰囲気もあった。惜しくもジャパンは試合に敗れてしまった。だがイベントではゲストのサイン入りジャパンのレプリカジャージー抽選会が行われ、ゲスト陣の軽妙なトークで暗くなりそうな空気を吹き飛ばした。

 

 この日、参加したゲストの声を聞いた。

「快適な空間で美味しいご飯とお酒をいただきながら、ラグビーファンの方とふれ合うのはとてもいいイベントだと思います。元々ラグビーファンの方もいれば、最近ファンになったばかりの方もいる。その方たちのお話しを聞けるのは自分にとっても楽しい時間でした」(大野氏)

「ラグビーのアフターマッチファンクション(交歓会)では、お酒が打ち解けるための潤滑剤になる。そこに似たような感覚があります。同じ空間にいて、ラグビーを軸にし、交流ができる。そういう場にいられることは選手、元選手としても幅が広がる。この輪を広げてくれた凸版印刷さんには感謝しています」(真壁氏)

 

(写真:イベント当日も会場運営に奮闘していた鈴木課長<左>と運営担当の相野氏)

 今回で3回目となる凸版印刷の「ホスピタリティ・ライブビューイング」。今回はグランドプリンスホテル高輪に加え、国の有形文化財にも登録されている新潟・百年料亭「宇喜世」でも開催した。事業責任者である凸版印刷情報コミュニケーション事業本部 スポーツビジネスデザイン室 ビジネス推進部の鈴木貴博課長は「地方創生、活性化の意味も込めました」と過去2回とは違い、東京以外でも開催に至ったという。鈴木課長は「一般のファンの方にも来ていただきたい」と前置きした上で、「企業の方々のエンゲージメントに利用してもらってもいいですし、お客様を誘って接待に使っていただいてもいいんです」。社交場としての機能にも期待を寄せる。

 

 スタジアムでの応援するかたちが多様であるように会場に足を運べない人の楽しみ方もそれぞれである。パブリックビューイングやハブなどで立食形式で、わいわい試合を楽しむかたちもあれば、「ホスピタリティ・ライブビューイング」のように着座式でラグジュアリーな空間の中でゆったりとスポーツ観戦するのも乙である。「ラグビー以外のスポーツにも展開していきたい」と鈴木課長。スポーツの楽しみ方、見方、使い方は多種多様。今後の広がりに期待したい。

 

(文・写真/杉浦泰介)