(写真:今大会初先発のレメキは再三敵陣を切り裂いた ©JRFU)

 現地時間28日、ラグビーW杯フランス大会のプールD・世界ランキング13位の日本代表(ジャパン)が同12位のサモア代表を28-22で下した。前半13分に先制したジャパンは、SO松田力也の正確なプレースキックでリードを広げた。後半差を詰められたが、6点差で逃げ切った。これでジャパンは2勝1敗で勝ち点9となり、暫定2位に浮上。サモアは1勝2敗で勝ち点6の3位となった。

 

 2大会連続決勝トーナメント進出へ、ジャパンはプールD2位サモアとの直接対決を制し、次戦に望みを繋いだ。

 

 ともに1勝1敗、勝ち点5で迎えた試合、2位争いをする相手には負けられない。W杯では2015年イングランド大会、19年日本大会と連勝中だが、直前のテストマッチでは22-24で敗れており、対戦成績でも5勝12敗と負け越している。

 

 ジャパンはイングランドに敗れた一戦からFWパックは変えず臨んだ。CTBディラン・ライリーが2試合ぶりの先発、FBレメキロマノラヴァが今大会初先発。さらに2日前の公開練習に姿を見せず心配されたSH流大が急遽欠場。リザーブの齋藤直人と入れ替わり、リザーブには福田健太が入った。

 

 序盤はフィジカルを生かしたパワフルなサモアに押し込まれたが、ジャパンも徐々にペースを掴んでいく。すると前半13分、待望の先取点が生まれた。まずはレメキが左サイドを駆け抜け、大きくゲイン。最後は齋藤からパスを受け取ったFLピーター・ラブスカフニがインゴール左にねじ込んだ。松田のコンバージョンキックも決まり、7点のリードを奪った。

 

 互いにPGで3点を加えた後、32分にジャパンが再びトライチャンスを迎える。センターライン付近左サイドでのスクラムから齋藤が右へ展開。右サイドでレメキがゲインし、22mライン以内に侵入した。そこでできたラックから齋藤が今度は左へ展開。仕上げは松田の飛ばしパスを大外で受け取ったFLリーチマイケルがインゴール左隅に滑り込んだ。難しい角度からのコンバージョンキックも松田が成功し、17-3とリードを広げた。

 

 トライに至るジャパンのアタックの際、SHジョナサン・タウマテイネがボールを持っていないライリーに対し、妨害行為があったと判定され、イエローカード。一時数的優位となったが、数分後、ジャパンはHO堀江翔太がハイタックルによりシンビンを科され、14人対14人での戦いとなった。FWを1人欠いたジャパンは、前半終了間際にラインアウトモールで押し込まれてトライを喫した。

 

 17-8でハーフタイムを迎えると、キャプテンのNo.8姫野和樹がパッションでチームに勢いを与える。4分、自陣に侵入された場面でPR具智元とLOアマト・ファカタヴァのダブルタックルで相手を止めると、姫野は迷わず突っ込んだ。ジャッカル成功。レフリーが笛を吹くと、雄叫びを上げた。

 

 7分にはサモアウイングのベン・ラムがラブスカフニに対する頭部へのタックルでイエローカード。一時退場の堀江がピッチに戻ると、ジャパンはPR2枚を入れ替え、HIA(脳震盪の確認のため一時退出)のラブスカフニに代わってLOワーナー・ディアンズが投入された。ジャパンはフレッシュな状態のFWで畳み掛ける。すると8分、ラインアウトモールで押し込み、相手の反則を誘った。再びラインアウトからのモールで、姫野がトライを挙げた。

 

 ラムはバンカーシステムにより、イエローカードからレッドカードに。後半の大半を数的優位で戦えることとなった。15分、スクラムで押し勝ち、コラプシングを誘った。そこで得たPGを松田がゴールまで47mの距離を着実にスコアし、25-8と2トライ2ゴール以上の点差に広げた。

 

 あと1トライでボーナスポイント獲得。23分にWTB松島幸太朗が抜け出してインゴールまでボールを運んだが、TMOの結果、直前のプレーでノックオンがあり、トライは取り消しとなった。

 

 ここで負けると決勝トーナメント進出が遠のくサモアが意地を見せる。25分、FBダンカン・パイアアウアのトライ、SOクリスチャン・リアリーファノのコンバージョンキックで10点差に。ジャパンがPGで13点に広げた後の38分にはリアリーファがインゴール中央やや左に飛び込んだ。自らコンバージョンキックも決め、6点差に迫った。

 

 試合時間は残り2分を切った。ジャパンのキックオフをキャッチしたサモアは自陣でボールを繋ぎ、逆転を狙ってきた。ジャパンはオフフィートの反則を犯してしまう。サモアはタッチキックでセンターライン付近でラインアウトを獲得。ところがスローがジャンパーと合わず、ジャパンがボールを奪った。途中出場のSO李承信が外に蹴り出し、ノーサイド。28-22でジャパンが逃げ切った。

 

 欲を言えば、あと1トライを加えてボーナスポイントを獲得したかったが、まずは最低限必要だった勝ち点4を手にした。次戦は中9日でのアルゼンチン。この試合に勝てば、他国の結果に関わらずベスト8以上が確定する。

 

(文/杉浦泰介)