第159回 初心に帰った一日

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 2023年は、挑戦の年として、活動を始めました。

 お陰様でスポーツの真ん中だけではなく、パラスポーツに関わったことを活かした活動にも多く参画させていただくことになりました。私にとって、まさに挑戦です。

 

 その挑戦のひとつが、自治体から拝命した「インクルーシブ教育アドバイザー」です。

 新しい分野に私は張り切って勉強しました。ある日、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)認定校におじゃまする機会がありました。

 

<国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています>(文部科学省IB教育推進コンソーシアムウェブサイトより)

 そして、校内のいたるところに「IBの学習者像」、10の人物像のポスターが掲げられています。

 探究する人、コミュニケーションができる人、信念をもつ人……など。10項目それぞれに、元々の英語も併記されています。

 

 その中で、ハッとするものがありました。

「挑戦する人 Risk-takers」

 

 先生は概ね次のように生徒たちに話しているそうです。

「語源にさかのぼっていくと『risk』は『不確実性』という意味をもっています。私たちは不確実なものを警戒するから『risk』を負ってでも行動するかどうか迷う。大切なのは、行動してもしなくても『risk』は伴うということです。夢や志を実現するためには、『勇気を持って行動』すること。心配で、何も行動しなければ、新たに得るものも無いでしょう」

 

 一方、たまたま同時期に、大人向けのビジネスセミナーの案内をいただきました。

「『失敗しない創業』を学ぶ!」「成功する起業のしかた」

 違和感満載に見えてきます。気持ちは分からなくないし、新規創業を推進しようというのも伝わってきます。

 

 もし中学校の廊下に貼るポスターなら「失敗を恐れず創業しよう!」「リスクがあるから起業は素晴らしい」なんて書かれていたほうが、わくわくしますね。

 

 この学校では、障害のある子ない子の合同授業をしようと計画を進めています。まさに挑戦のひとつです。

 

 やったことのないことをやってみよう。そんなつもりでSTANDの事業を続けてきました。19期を迎えたいま、本当にそのように行動できているのか、と。中学校を訪問し、初心に帰った一日でした。

 

伊藤数子(いとう・かずこ)プロフィール>

新潟県出身。パラスポーツサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。STANDでは国や地域、年齢、性別、障がい、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するための「ユニバーサルコミュニケーション事業」を行なっている。その一環としてパラスポーツ事業を展開。2010年3月よりパラスポーツサイト「挑戦者たち」を開設。また、全国各地でパラスポーツ体験会を開催。2015年には「ボランティアアカデミー」を開講した。第1期スポーツ庁スポーツ審議会委員、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問を務めた。2022年10月、石川県成長戦略会議委員に就任。同11月に馳浩スペシャルアドバイザーに就いた。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ~パラリンピックを目指すアスリートたち~』(廣済堂出版)がある。
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